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北極海海底ケーブルの敷設を機に、北海道をデータセンターの集積地に
「北海道ニュートピアデータセンター研究会」が発足
2020年9月7日 11:44
北海道にデータセンター集積地の創成を目指す民間研究会「北海道ニュートピアデータセンター研究会」が4日、記者会見と発足記念フォーラムを開催した。
北海道ニュートピアデータセンター研究会は、北海道大学、東京大学、室蘭工業大学、慶應義塾大学の研究者と、アルテリア・ネットワークス株式会社、さくらインターネット株式会社、株式会社三菱総合研究所、株式会社ブロードバンドタワー、Digital Edge、王子エンジニアリング株式会社、株式会社フラワーコミュニケーションズなどの企業により7月14日に発足した研究会。
研究会代表は北海道大学特任教授の山本強氏、副代表には東京大学教授の江崎浩氏、室蘭工業大学特任教授の岸上順一氏、慶應義塾大学教授の村井純氏があたり、事務局はクラウドネットワークスなどが担当する。
研究会代表の山本強氏は、研究会設立の趣旨を説明。近年頻発する大規模災害やパンデミックなどは、一極集中のリスクを顕在化しており、今がネットワークとデータセンターのインフラを再設計するタイミングだと共通認識のもと、北海道をデータセンター立地のパラダイスにするという目標を設定し、短期間で提言書の形にまとめるとした。
研究会の目的としては、国内データセンター配置のあるべき姿を検証し、北海道にデータセンターを作ることの効果と重要性を議論していく。
山本氏は、データセンターの経済性至上主義=東京一極集中から、環境配慮型=分散型データセンターへの変化が必要で、さらに北極海海底ケーブル敷設計画が活発化しており、我が国の海底ケーブルトポロジーに対する北海道の役割を議論していくと説明。北海道に海底ケーブルランディングのフリーポートを設定し、データ、物流、人流を一体化した拠点を北海道に作り、日本のニューノーマルの形とするとした。
副代表の村井純氏は、地球温暖化に伴って北極海への海底ケーブル敷設計画が進められており、2012年にはカナダで北極海海底ケーブルの敷設が進められたが、現在はフィンランドによる海底ケーブル計画の調査が進められていることを紹介した。
この計画にはロシアの資本も入り、北極海から南下して津軽海峡を通ってウラジオストックにつなぐ構想のため、北海道では苫小牧などへの陸揚げが想定されるという。さらに、ベーリング海から分岐してシアトルなどに向かう構想もあるため、地理的にも北海道にデータセンターの集積地を作ることが優位性が高まるとした。
研究会では、こうした内容を2020年度内には提言書の形にまとめ、広く社会に投げかけていきたいとと説明。オープンな研究会として、産業界などとともに議論を深めていきたいとした。
北海道のどの地域を想定しているかについては、まずはすでにデータセンターがある石狩と、北海道の中心地である札幌、海底ケーブルの陸揚げが想定される苫小牧といった地域を結んだ地域を想定しているが、こうした地域の整備が進むことで、周辺地域にも恩恵がもたらされるとした。