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NECとNTT Com、新冷媒を用いたデータセンターの冷却システムを開発、空調消費電力を半減

 日本電気株式会社(以下、NEC)とNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は28日、データセンター内の通信機械設備の空調におけるノンフロンの新冷媒を用いた冷却システムを開発し、共同実験を行ったと発表した。実験では、従来方式の冷却システムと比較して、空調消費電力を半減できることが確認されたという。

冷却システムの受熱ユニット

 新冷媒(ノンフロン)は、温室効果を示す地球温暖化係数が自然冷媒(二酸化炭素)とほぼ同じとなる冷媒で、主にカーエアコンなどに使用される高圧冷媒(R1234yf)と、冷水冷凍機用途(水冷)などで使用される低圧冷媒(R1224yd)がある。NECとNTT Comでは今回、低圧冷媒(R1224yd)を空調機用途(空冷)として世界で初めて開発・実用化した。

 実証実験では、従来の水冷システムより、熱交換性能が高い「相変化冷却システム」を導入することで、受熱性能を2倍以上に向上した。サーバーラックの熱が排出される部分の空気の流れを遮断(ホットアイルキャッピング)した上で、受熱ユニットがラックの排熱により冷媒を気化。さらに、圧縮ユニットにより冷媒温度を外気温度以上に圧縮して昇温して、屋外ユニットで放熱することにより冷媒を液化し、再び冷媒を受熱部に移動するという構成になる。

冷却システムのイメージ

 複数の熱源を持つデータセンターを効率的に冷却するためには高い冷却能力が重要となるが、そのためには相変化により熱を吸収した多くの冷媒をスムーズに流す必要がある。実証実験では、配管内の気体と液体を分離することで冷媒蒸気の流れをスムーズにして、低圧冷媒を大流量で流すことに成功した。NTT Comの持つデータセンターの排熱ノウハウや温度管理技術を組み合わせることで、大型空調機相当の40kW冷却能力で、消費電力を現行比半分以下に削減した。

 また、受熱ユニットは、ラック天板の上部に取付架台を設けることで設置でき、従来比で高さ約2分の1の小型化を実現することで、天井高が低い既存データセンターのフロアなどへの局所空調として、後付けでの設置を可能にした。

ラック上部に受熱部を後付けできる

 システムは、2022年にNECでの事業化(製品化)を目指し、NTT Comは自社施設への導入検討を進める。将来的に両社は、通信設備のみならず病院や複合商業施設など大規模な冷却設備を必要とする顧客への提供を検討し、排出熱を活用した温水、発電、農業などへの活用など、環境・経済の両面で社会貢献に寄与するシステムを目指すとしている。