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ITインフラサービスの企業利用動向、リモートアクセス領域への投資計画が拡大~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は27日、国内企業および団体691社のCIO、IT部門マネージャーまたはそれに準ずる人を対象とした、ITインフストラクチャサービスへの投資動向に関する調査の結果を発表した。

 2019年度のIT予算に占めるITインフラストラクチャ向け支出比率は、従業員規模が大きいほど高く、産業分野別では金融と通信/メディアを中心に高い傾向が見られる。しかし、支出金額における対前年度比推移を見ると、金融など一部の産業分野では、アプリケーション向けの支出拡大の影響でITインフラ向けの支出金額は縮小しているという。

 ITインフラストラクチャ向け支出をテクノロジー領域の観点から見ると、2019年度に最も投資された領域はサイバーセキュリティ領域となった。その一方で、2020年度に投資を計画/検討中の領域については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴う在宅勤務導入に対する需要の拡大を背景として、リモートアクセスの回答率が上がっており、特に中堅企業では14.9%(2019年度実績)から24.1%(2020年度計画/検討中)へと大幅に上昇している。

2020年に投資を計画/検討しているITインフラ分野テクノロジー領域(従業員規模別、出典:IDC Japan)

 クラウドインフラストラクチャサービス(IaaS型パブリッククラウド、オンプレミス型/ホステッド型プライベートクラウド)の利用状況は、従業員規模に比例して「利用している」との回答率が高くなっており、ハイブリッド/マルチクラウドの利用についても同様となっている。そのため大企業では、中堅企業/中小企業に比べて、これらに対するケイパビリティを重視する傾向が見られるという。

 IDC Japanでは、多くの企業/団体のIT部門は、サイバーセキュリティとコスト削減をITインフラストラクチャ領域における大きな課題と認識しており、それを背景として、ITインフラストラクチャ向け支出比率の高い企業では、クラウドや仮想化の活用によるハードウェア機器やその保守/運用費用の縮小などによって、ITインフラストラクチャ領域のコスト削減を図っていると考えられるとしている。

 2020年度については、COVID-19の感染拡大を背景に、中堅/中小企業も含めリモートアクセスへの投資意欲が高まっており、それをトリガーとした新規顧客開拓のチャンスが訪れていると説明。ただし、中堅/中小企業ではITインフラストラクチャ向けの要員や予算が少なく、ベンダー側にとっても中小規模の案件を数多く手掛けることになるため、効率的かつ低コストでサービスを提供できるようサービス設計をする必要があると指摘する。

 IDC Japan ITサービス シニアマーケットアナリストの吉井誠一郎氏は、「中小規模のITインフラ環境を包括的にサポートする、クラウドも活用した標準化/定型化されたメニューの充実が求められる」と分析している。