ニュース

水中音響センシングで不審な船やダイバーを検知、OKIが「密漁監視ソリューション」を販売

 沖電気工業株式会社(以下、OKI)は24日、自社が持つ水中音響センシング技術を活用し、密漁船や水中の不審なダイバーを監視・検知する「密漁監視ソリューション」を開発したと発表した。同日より販売を開始する。

 近年、組織化・大規模化された密漁団による被害額は年々大きくなっているが、その手口についても、夜間に無灯火船で移動し、潜水器を用いてダイバーが密漁を行うなど、巧妙化しているとのこと。こうした被害への対策も行われているものの、現状の対策では人件費や装置コストの負担が大きいことに加え、夜間に無灯火船、水中のダイバーの両方を監視し不審者を発見するのは難しいといった課題があるという。

 今回発表された「密漁監視ソリューション」は、こうした課題を解決するために開発されたソリューションで、自ら音を発信することなく海中音を受信する水中音響センサーを利用し、水中の音を集めてクラウドサーバーへ送信。そこでデータを分析することにより、水中を伝わってくるさまざまな音の中から、船のエンジンやスクリュー音、ダイバーの呼吸音などをリアルタイムに検出できるようにした。

 これにより、昼夜を問わず、不審船の侵入や、これまで発見が難しかった不審なダイバーの接近を、水中の音から検知可能。また、こうした不審な音を検知した場合は登録通知先へメールを送信する仕組みになっており、迅速な対応を支援するとのこと。

 なおOKIでは、総務省の「平成30年度IoTサービス創出支援事業」を矢口港湾建設株式会社、増毛町とともに受託し、2018年度から、実用化に向けた検証を行ってきた。翌2019年には増毛町において、水中音響センシング部の耐雑音性を高め、水中音検出性能を改善する追加実験を行っており、この結果、水中音響センシング技術を使った密漁監視ソリューションの実用化に成功し、今回、販売を開始することになったという。

 また今回の販売開始にあわせて、増毛町に加え、北海道の古宇郡泊村、岩内郡岩内町においても、運用が順次開始される。

 OKIは今後、今回運用を開始する3海域から得られた季節や海象、地形などが異なる環境下でのデータを蓄積し、密漁監視用データベースの充実を図ることにより、密漁監視ソリューションの高度化を進めるとしている。