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富士通と練馬区、住民税業務へのAI適用を共同検証 作業負荷軽減とベテラン職員からのノウハウ継承を目指す

 富士通株式会社は9日、東京都練馬区と、住民税業務へのAI適用を共同で実証すると発表した。期間は2020年7月末までで、なお住民税業務へのAI適用は、実証においても業界初の取り組みになるという。

 練馬区では、住民や事業所などから申告される確定申告書や給与支払報告書、年金支払報告書などのさまざまな課税書類を、富士通の自治体向け税業務システム「FUJITSU 公共ソリューション MICJET」(以下、MICJET)で管理している。

 それらの書類は「MICJET」上で照合され、住民税額の不整合がある場合はエラー検出されるが、例年7万件を超えるエラーについて、職員が手作業で内容を確認し適宜修正対応しているため、作業の負荷軽減やベテラン職員からのノウハウ継承が課題になっていたとのこと。

 そこで富士通では、こうした課題の解決を目指し、住民税賦課業務にAIを活用する実証実験を練馬区と共同で行うとした。

 具体的には、エラー原因と修正要否の判断基準などをAIが学習可能なデータに変換し、エラー内容と職員の作業の相関パターンをAIに機械学習させる。そして、その学習データをもとに、住民税額の修正の要否や見直すべき資料の提示、住民税額の自動修正を行うAI学習モデルを構築。練馬区の住民税賦課業務に適用するという。

 さらにこのAI学習モデルに、入力の不整合を引き起こす思考プロセスをデータ項目と内容の相関から類推し、修正ロジックを生成する富士通研究所の最新マイニング技術を適用。住民税額の自動修正範囲を拡大し、賦課業務を大幅に効率化することを目指すとしている。

 なお富士通では、この実証実験で構築したAI学習モデルをもとに新ソリューションを開発し、2020年度中に「MICJET」のラインアップに追加して提供する予定だ。