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凸版印刷と仏Amcor Capsules、ワイン・蒸留酒向け偽造防止ソリューションを提供

 凸版印刷株式会社と、軟包材メーカーAmcor社の子会社で、カプセル製造を手掛ける仏Amcor Capsulesは24日、ワインや蒸留酒に向けた偽造防止ソリューションの提供において協業すると発表した。

 カプセルとは、ワインなどのボトル上部を覆っている、金属またはプラスチック製のキャップシールのこと。両社は、開封検知機能付きNFCタグ搭載カプセル「InTact(インタクト)」を開発し、2016年冬からフランスのワイナリーで実証実験を実施してきたが、今回は、この協業における強固なサプライチェーンの構築により、InTactの本格提供を開始するという。

開封検知機能付きNFCタグ搭載カプセル「InTact」のイメージ

 両社によれば、高級感のある飲料向けカプセルは金属製のものが多く、電波を利用して通信するICタグは金属による干渉を受けやすいことから、これまで一体化することができなかったとのこと。しかしInTactでは、金属フィルムと非金属フィルムとを組み合わせたAmcor Capsulesの独自構造カプセルを利用することで、ICタグの通信を阻害しないNFCタグ一体型カプセルを実現している。

 また、このソリューションで採用されるNFCタグは、凸版印刷が独自に設計した、通信用回路とは別に断線の検知回路を持ったアンテナ構造を採用しているため、カプセルを破いたり天面に穴を開けたりしただけでも開栓を検知し、その履歴をICチップ内に記録可能になっている点が特徴とのこと。

 なお、通常のICタグは、アンテナ回路が断線すると破損して通信ができなくなるものの、InTactでは、検知回路が断線した後もICタグとして機能するICチップを採用しており、流通過程での不正検知はもちろんのこと、消費者が開栓した後にも、NFC対応スマートフォンでNFCタグを読み取るといった方法により、キャンペーン情報などの消費者向け情報を提供できるとしている。

スマートフォンでの真贋判定イメージ

 両社では今後も、このソリューションの機能拡充などを共同で推進するほか、凸版印刷は、開封検知機能付きNFCタグをはじめとした偽造防止ソリューションを、酒類業界に限らず、医療・医薬品や化粧品など、高級品のパッケージ向けに拡販する計画だ。