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IIJと台湾Kiwitec、LoRaWANソリューション展開で協業

ゲートウェイ機器に独自機能を実装し、中小規模IoT分野に展開

 株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)と台湾のKiwi Technology(以下、Kiwitec)は19日、IoT活用に向けたLoRaWANの展開において協業すると発表した。協業により、両社はKiwitec製LoRaWANゲートウェイ機器において独自の機能拡張を行い、LoRaWANソリューションとしてさまざまなIoT分野に対して11月1日から展開していくとしている。

 LoRaWANは、低消費電力かつ長距離通信を特徴とする無線通信技術で、免許が不要な周波数帯域を利用することで、誰でも手軽に利用できる。Kiwitecは、2015年からLoRaWANの成長性、可能性に着目し、同技術に対応した独自のゲートウェイ(基地局)やモジュール、センサーデバイスなどを開発、販売している。

 一方、IIJでは、2016年にIIJ IoTサービスを開始し、IoTビジネスを展開してきた。2017年には農林水産省の公募事業として、IoTを活用し水田の水管理コストを削減することを目指した実証実験に取り組んでおり、実証ではKiwitecのLoRaWANゲートウェイを設置し、水田センサーからのデータをLoRaWANで収集するシステムの研究開発を行っている。

 この実証を通じて、IIJとKiwitecはお互いの技術を集結し、IoT分野におけるさらなるLoRaWAN活用を推進すべく協業することに至ったと説明。協業では、KiwitecのLoRaWANゲートウェイに対して、「ビルトインサーバ機能」と「SACM機能」の2つの独自機能を追加し、中小規模でも容易に構築、導入できるようなIoTシステムを提供していく。

 ビルトインサーバ機能は、LoRaWANを利用するために必要となる、センサーやゲートウェイなどの端末管理および通信の暗号化・復号化を行うためのシステム「ネットワークサーバ」の機能を、LoRaWANゲートウェイ機器そのものに実装する。これにより、システムをシンプルに構成できるようになるとともに、独立したネットワークサーバが不要になり、運用負荷や構築費用を大幅に軽減できる。

 SACM(Service Adaptor Control Manager)は、IIJが開発・提供するネットワーク機器の集中管理サービスで、機器の自動接続と一元管理を遠隔から実現できるマネージメントシステム。SCAM機能をLoRaWANゲートウェイに実装することで、ゲートウェイの設定の自動化やファームウェア更新、各種オペレーションを遠隔から行うことが可能になる。LoRaWANゲートウェイは屋外の高所に設置されることも多く、そのような現地でのメンテナンスが難しい場合でも、SACMによるリモート管理で機器の管理・運用が容易に行える。

 両社は今後、機能を追加した独自のゲートウェイを中心に屋内から屋外まで、幅広いフィールドで活用できるLoRaWANソリューションを提供し、農業分野をはじめ、食の衛生管理(HACCP)やトレーサビリティ、フリート管理、スマートビルディングなど、さまざまな分野でのIoT展開を推進していくとしている。