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武田薬品、無菌操作トレーニング向けのVRソリューションを9月より利用開始

 日本電気株式会社(以下、NEC)とNECソリューションイノベータ株式会社は29日、武田薬品工業株式会社(以下、武田薬品)が、感染症ワクチンの製造工程における無菌操作トレーニング向けVRソリューション(以下、VRトレーニング)を導入したと発表した。9月から利用が開始される予定。

 NECでは、ユーザーニーズに合わせてVR空間を個別に構築し、ヘッドマウントディスプレイなどと組み合わせて提供する「法人VRソリューション」を製品化しているが、今回、武田薬品が導入したVRトレーニングも、これを活用。無菌室内の設備である安全キャビネットや、細胞培養に使用する細胞培養用フラスコ、電動ピペッターといった専用の器具を用いた無菌操作を仮想空間内に再現し、製造時の順守事項を仮想空間内で体感学習できるようにした。

 具体的には、培養細胞や培養液、ボトル・細胞培養用フラスコ・ピペットといった器具と作業者の手の位置・角度・接触などの状態から「無菌操作に好ましくない、コンタミネーションリスク(雑菌等の異物混入の恐れ)の高い操作」を抽出して、作業の正確さをチェックするとのこと。

 これらのチェックポイントは、人間工学に基づいた順守事項に抵触する行為を、NECソリューションイノベータが体系化したもので、VRトレーニングでは、20種の順守事項に抵触する全260ケースを検出し、コンタミネーションリスクとなる部位や原因の説明、適切な対処方法や回避方法を作業者に提示してくれる。

 こうしてVR空間で実環境を再現することで、製造トレーニングの場所・時間の制約がなくなっただけでなく、指導者がいなくても訓練者自身で無菌操作の作業中の順守事項を確認できる点がメリットだ。

 さらに、これまでは熟練者が経験に基づいて判断していた部分を、VRトレーニングの順守事項に反映させることにより、客観的にトレーニングの効果を測定できるようになった。加えて、トレーニング時に用いる溶液や資材についても、VRトレーニングにより廃棄量を減せるとしている。

VRトレーニングのイメージ