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ハイブリッドクラウドの国内利用動向、構築時はセキュリティ強化やコスト最適化を重視、オンプレミスに対する再評価も進む~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は24日、国内企業におけるハイブリッドクラウドインフラの利用動向調査結果を発表した。調査は、国内企業/組織におけるITインフラ導入の意思決定やITインフラ導入のプロセスに関与する人を対象としたアンケートを2月に実施したもので、有効回答は349人。調査では、ハイブリッドクラウドを「複数のクラウドサービスやプライベートクラウドなどを連携し、統合的に運用管理すること」と定義している。

 ハイブリッドクラウドの構築で重視する項目を訪ねた質問では、「ITインフラコストの最適化」「セキュリティの強化」「運用管理コストの最適化」「統合的な運用管理の実現」といった項目が上位に挙げられた。

 IDC Japanでは、ハイブリッドクラウド構築では、セキュリティの強化に加えて、運用管理も含めたITインフラコストの最適化が重視されていると説明。また、「ビジネスニーズへの迅速な対応」についても、大企業(従業員規模1000人以上)や中堅企業(同500~999人)で高い回答率となっており、デジタルトランスフォーメーション(DX)への対応などを背景に、ビジネス機会を拡大するためにITリソースを迅速に提供できることが重視されていると分析している。

 今後利用を増やすITインフラについては、「パブリッククラウドサービス」「プライベートクラウドサービス」「オンプレミスプライベートクラウド」が上位を占め、パブリッククラウドサービスの利用意向が高い状況となっている。

 ワークロード別では、「ERM(Enterprise Resource Management)」「データベース」「電子メール/グループウェア」「ファイルサーバー」で、パブリッククラウドサービスに移行できると回答した割合が比較的高い。しかし、これらのワークロードについて、今後のITインフラの利用意向を尋ねると、パブリッククラウドサービスに移行するとした回答はそれほど高くなく、必ずしも円滑に移行が進むわけではないとみられるとしている。

 一方で、パブリッククラウドサービスを利用中の回答者のうち、今後パブリッククラウドサービスからオンプレミスITインフラに移行する予定があるとした回答者は8割弱に上った。オンプレミスITインフラの利用を増やす条件としては、セキュリティの向上、容易な導入、PaaS機能の統合提供、運用管理負担の軽減などが挙げられており、オンプレミスITインフラにおいても、パブリッククラウドサービスに近い使い勝手や機能が求められる結果となった。

 IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ シニアマーケットアナリストの宝出幸久氏は、「複数のクラウドを適材適所で使い分けるマルチクラウドの一般化を背景に、ハイブリッドクラウドを構築済みの回答者が増加しており、今後1年以内に構築する計画を持つ回答者も大きく増加した。一方で、オンプレミスITインフラに対する再評価も進んでおり、その刷新が求められていることも明らかとなった。今後は、クラウドの活用、オンプレミスITインフラの刷新、そしてハイブリッドクラウドの実現を念頭に置き、DXに対応したITインフラへと変革を進めることが重要である」と分析している。

ハイブリッドクラウドの構築で重視する項目(出典:IDC Japan)