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2018年の国内WANサービス市場規模は5954億円、クラウドへの接続などにより市場が拡大~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は15日、通信事業者が法人向けに提供するWANサービスの国内市場シェアと市場予測を発表した。2018年の国内WANサービス市場の規模は、前年比6.6%増の5954億円で、企業の拠点間などを接続するWANサービスはすでに多くの企業に普及しているが、クラウドサービスへの新たな接続需要の急増などによって市場が拡大したとしている。

 国内WANサービス市場については、大手5社で市場の8割以上のシェアを占める寡占市場となっているが、WANサービスのコモディティ化とともに、通信事業者間の競争はますます激しくなっていると指摘。この市場で最大シェア(28.7%)を持つNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、先進技術への積極的な取り組み、グローバルビジネスの積極展開、WANサービスとマネージドサービス、セキュリティサービスなどのワンストップ提供などによる差別化を図ることで市場シェアトップを維持していると分析している。

 市場の状況については、シェアトップのNTT Comを、KDDI(市場シェア18.0%)とソフトバンク(同14.9%)が積極攻勢で追い上げており、NTT西日本(同12.2%)、NTT東日本(同10.4%)は地域市場で高い信頼を獲得しているとしている。

 今後の企業WANについては、クラウドの利用拡大やデジタル変革への取り組みによって複雑化し、ニーズが多様化していくと予測。また、SD-WAN(Software Defined-Network)などのネットワーク仮想化技術や5Gが、企業WANに新しいアーキテクチャをもたらすと考えられるとしている。

 IDC Japan コミュニケーションズ リサーチマネージャーの小野陽子氏は、「通信事業者が今後、国内WANサービス市場でシェアを拡大するには、単純な回線販売から、SD-WANや5Gなどの新技術を活用し、企業のさまざまなニーズに対応可能なソリューション型のWANサービスを提供していく必要がある」と述べている。

国内WANサービス市場 通信事業者別 売上額シェア:2018年(出典:IDC Japan。L2/L3閉域網、イーサネット専用線、マネージドインターネットVPNサービスの合計)