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アットマークテクノなど6社が共同、IoTシステムをDIY感覚で設計できるオープンソースプロジェクト「Degu」発足

 株式会社アットマークテクノ、Seeed株式会社、コアスタッフ株式会社は15日、メッシュネットワーク対応のIoTシステムをDIY感覚で設計できるセンサー技術をオープンソースで提供する「Degu(デグー)」プロジェクトを共同で発足すると発表した。

 プロジェクトには上記3社のほか、NXPジャパン株式会社、太陽誘電株式会社、ノルディック・セミコンダクター株式会社も参加する。

 Deguプロジェクトでは、国内外でIoTへの取り組みが活発だが、IoTシステムのデバイス設計やクラウド接続において、標準となる技術がないことが新事業立ち上げの壁となっていると説明。こうした課題に対して、経験の浅いエンジニアでもDIY感覚でIoTシステムを設計できるよう、メッシュネットワーク対応IoTデバイス「Deguセンサー」の設計に必要な回路図や部品表などハードウェアの技術情報と、OSをはじめとした基本ソフトウェアやドキュメントなどの開発情報を、GitHub上でオープンソースとして公開する。

Deguセンサーの構成イメージ

 Deguセンサーは、200種類以上のセンサーやアクチュエータを展開するGroveモジュール(Seeedが推進)の中から目的に合ったものを選択して接続することで、さまざまな機能を簡単かつスピーディーに試すことができる。

 DeguセンサーはIoTデバイス向けの省電力無線IP通信規格「Thread(スレッド)」を採用し、太陽誘電が提供するThread通信モジュールを搭載する。Threadは、センサーネットワーク内のノード同士が相互に通信し各機器が網目のようにつながっていく「メッシュネットワーク」を構築することにより、広域で安定した通信を実現でき、距離の離れた場所とも通信できる。

 センシング機能と通信機能のほかに、DeguセンサーはNordic製SoCを利用した簡易なエッジコンピューティング機能を実装。Python系のスクリプト言語を使い、取得したセンサーデータの閾値判定や平均化などの前処理をするほか、センサーデータの取得タイミングなどの設定情報をプログラムし、Deguセンサー上で処理できる。

 また、Deguセンサーは、NXP製の「A71CH Plug & Trustセキュア・エレメント」を搭載しており、Amazon Web Services(AWS)から各個体を認証する際に使われる証明書(秘密鍵)をセキュアに保管することができる。

 さらに、DeguセンサーはAWSの「AWS IoT Core」に対応しており、Deguセンサー上で前処理済みのセンシングデータをAWSにアップロードすることにより、AWS上の機械学習や深層学習、BIなどのさまざまなサービスでセンシングデータをすぐに活用可能。Deguを利用することで、データの収集や前処理などの手間を省き、IoTシステムの付加価値を高めるクラウドアプリケーションの開発に注力できるとしている。

DeguセンサーとAWS IoT Coreの連携イメージ

 アットマークテクノとSeeedでは、両社が共同開発したDeguセンサーのスターターキットを4月10日に発売。また、Seeedとコアスタッフは、Deguセンサーの量産向けカスタムオーダーサービス「Degu 量産設計サービス」を提供する予定で、利用者はPoCから製品化までを一貫してDegu仕様で実現できる。

 Deguプロジェクトでは、スターターキット発売後1年間で、Deguセンサーの利用台数100万台を見込む。今後は、利用者向けの情報提供などを進め、IoTシステムをもっと手軽にかつ堅実に構築できる環境の整備に努めていくとしている。