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NTT-AT、仕様書や稟議書など各種ドキュメントの自動審査を実現する審査プロセス支援システムを試作
2019年1月29日 09:00
NTTアドバンステクノロジ株式会社(以下、NTT-AT)は28日、企業や自治体における契約書やマニュアル、仕様書や稟議書などの各種ドキュメント類の審査を効率化するため、自然言語処理技術と機械学習技術を活用した「自動ドキュメント審査システム」を試作したと発表した。NTT-ATでは今後の実用化に向け、契約書の自動審査を可能とするプロトタイプを開発し、トライアルを開始した。
NTT-ATでは、バックヤード業務の効率化は企業の永遠の課題と言われるが、慢性化する人手不足問題により、一層、深刻な経営課題となっていると説明。社内で発生するさまざまな重要ドキュメントの審査プロセスも同様に効率化を迫られており、たとえば契約書に関しては、審査に際して企業の法務担当(契約審査担当)はルーチンの契約書文面審査業務、問い合わせ対応に業務時間の大半を奪われており、戦略的に注力すべきとされる創造的な契約コンサルティングや重要案件の審査などへの時間の捻出が課題になっているとしている。
また、NTT-AT自身も、多くのSI受託業務を行っており、受注時の契約書審査プロセスに多くの手間と時間を費やすなど、働き方改革の点で、効率化への取り組みが課題となっていると説明。こうした課題に対し、社内の改善提案から、AIを利用した契約書審査プロセスの短縮や業務負荷軽減の実現に向けた取り組みとして、システムの開発に至ったという。
システムは、NTT研究所の技術とノウハウを基に、NTT-ATが20年以上にわたり研究開発を行ってきた自然言語処理技術と機械学習技術を組み合わせ、契約書などのドキュメント審査を効率化する支援システムとして試作。システムは継続的成長を目指し、最初にSI受託業務の契約書審査に焦点を絞り、基本的なチェック機能からはじめ、ユーザー企業に対して段階的に実用レベルの高い製品の提供を目指している。
システムは、ドキュメントをアップロードするだけで、あらかじめ設定した審査ポリシー(判断基準)に従い、契約書文をチェックし、審査ポリシーにそぐわない箇所の指摘が可能。指摘した箇所に対して、審査ポリシーに即した文をサジェストすることや、過去の類似契約書文を自動的に検索が可能となっている。
機械学習技術を活用したため、文章の構成や表現に依存せず、分析とポリシー審査が可能。法改正に伴うポリシー変更などが求められる場合でも柔軟に対応可能。自社の事情や業界の慣習を考慮した判断規準の設定が可能といった特徴を備える。
NTT-ATでは今後、社内利用と先行協力企業からのフィードバックを元に、段階的にブラッシュアップをシステムに反映し、同様にSI受託業務契約を多数抱える企業などに無償トライアル機会を提供する予定。また、契約書以外の非定型文書の解析・審査においてもシステムを利用し、将来的にAI活用を積極的に進めたい企業様と共同で検討・検証し、さらなる効率化の実現に貢献していくとしている。
また、契約書の審査業務においては、従来の紙やメールによるやり取りではなく、契約締結両社の契約・営業担当がAIによる審査サポートを受けながら、オンラインで契約書の修正・確認ができ、その後、RPAツール「WinActor」との連携により、両社の既存業務システム上で決裁を行い、DocuSignなどの電子サインサービスを用いたオンラインで締結し、契約書をクラウド上に保管するような契約サービス「契約書審査プラットフォーム(仮称)」を目指すとしている。