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NEC通信システム、製造現場の資材位置を高精度で管理する「マーカー測位技術」を開発

 日本電気通信システム株式会社(以下、NEC通信システム)は10日、製造業など工場内の資材・仕掛品・完成品の保管位置を高精度に測位する「マーカー測位技術」を開発したと発表した。

 マーカー測位技術は、拡張現実(AR)で用いられるカメラ位置や姿勢(角度)を推定する技術を応用し、壁面や柱、資材などに取り付けた複数のマーカーをカメラで撮影し、カメラ位置および資材位置の測位を行うもの。これにより、屋内外の資材などの保管位置を1m以内の精度で正確に把握することを可能にする。資材を探す時間を削減するだけでなく、資材の運搬や入出庫までを自動で管理することで、不明在庫の発生を防止する。

 製造業の工場などの現場では、多数の資材・仕掛品・完成品が、屋内外を問わず広大な敷地のさまざまな場所で保管されており、目的の物を探す作業に膨大な時間を要するという課題があった。従来のシステムでは、屋内ではビーコン方式、屋外ではGPSの電波を用いた方式を用いることが多く、10m程度の誤差が発生するため、正確な位置管理ができなかった。特に屋内では、特殊なビーコン装置を多数配置する必要があり、電池交換をはじめメンテナンスに手間がかかるという問題があった。また、位置測位精度が粗く、資材運搬を自動認識することは難しいため、追加の手動操作が必要だったという。

 開発したマーカー測位技術では、紙状媒体のマーカーを壁面や柱、資材に付け、カメラで撮影し位置を推定するため、ビーコンなど電波方式では必要であった特殊な装置が不要で、取り扱いが簡易になる。電池交換といったメンテナンスも不要となり、保守性にも優れる。

 また、風雨に耐えられる媒体のマーカーを使用することで、屋外でも位置の推定が可能となり、屋内外で異なる位置測位装置(ビーコン、GPSなど)を用意することが不要になるため、屋内外の資材管理を一元的に行えるとしている。

 NEC通信システムは、マーカー測位技術は同社の「資材監視ソリューション」を強化するものとなり、マーカー測位技術を要素技術として、パブリックインフラ領域やファクトリー領域をはじめとした新しいIoT事業に取り組んでいくと説明。また、同技術を、1月16日~18日に東京ビッグサイトで開催される「第3回スマート工場EXPO」に出展する。

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