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凸版印刷、LPWA規格「ZETA」とAI技術を活用した医療施設向け見守りサービスを開発

埼玉県総合リハビリテーションセンターのトイレで実証実験を開始

 凸版印刷株式会社は10日、LPWA(低消費電力広域ネットワーク)規格の「ZETA(ゼタ)を」活用し、センサー検知とAIにより病院内施設のトイレやシャワー室・お風呂などの個室における転倒や利用状況などを可視化できる医療施設向け見守りサービスを開発したと発表した。

 サービスは、医療施設のトイレやシャワー室・お風呂などの個室内に人感センサー・開閉センサーなどを組み合わせて設置し、利用者の動きや扉の開閉状況を検知することで、転倒などの利用状況の把握をできるようにするもの。センサーで検知した情報はクラウドまたはオンプレミス上に蓄積され、ナースステーションなど別の場所に設置されたPC上で確認できる。

 920MHz帯を利用するZETAを活用することで、ワイヤレス医療機器などに使用されることが多い既存の通信帯域(2.4GHz帯、5GHz帯との電波干渉を防ぐことができ、セキュリティ性が高く安定した無線通信を実現する。さらに、ZETAでは「中継器によるマルチホップ(メッシュアクセス)」が可能となるため、施設の奥まった箇所や地下など電波が届きにくい箇所に対しても、中継機を活用することで施設全体をカバーできるとしている。

 また、車椅子利用などが多い医療施設内の個室環境に対応し、AIを活用した緊急時の検知パターンを蓄積・学習させることでサービスの精度を高め、緊急時の早期発見を実現。カメラやサーモグラフィなどは使用せず、個人情報を取得しないセンサーを複数組み合わせることで、状況を検知するプライバシーに配慮したIoTセンシング技術を採用している。

 凸版印刷では1月初旬より、医療機器の輸入・販売を手掛ける株式会社メッツの協力のもと、埼玉県上尾市の埼玉県総合リハビリテーションセンターの個室トイレで実証実験を開始。サービスの技術検証を進め、2019年春からサービスの提供を開始し、2020年度に関連サービスも含めて約10億円の売上を目指す。

 また、将来的には建装材とIoT技術を融合させた商品群「トッパンIoT建材シリーズ」とも連携し、医療施設だけでなく、個人宅での見守り用途や商業ビルにおける施設管理などにも用途を拡張し、展開していくとしている。