ニュース

マイクロソフト、AIを活用したスポーツ写真の人物特定機能を実現

NPBの写真資産管理サービスでの試験利用を2018年6月より開始

 日本マイクロソフト株式会社は26日、富士フイルムイメージングシステムズ株式会社が、大容量コンテンツの共有および管理サービス「IMAGE WORKS」において、AIを活用したスポーツ写真の人物特定機能を実現したと発表した。

 一般社団法人日本野球機構(NPB)では、IMAGE WORKSを基盤として利用し、プロ野球各球団の所有する写真資産を一元的に管理し、写真を利用したいゲーム会社、グッズメーカーなどの取引先に貸し出しを行うサービスNPB CIC(Contents Images Center)を展開しており、各球団が所有する写真資産を一元的に管理している。

 また、各球団の外部への写真貸出・請求管理なども、業務サポートの一環として行っているが、貸出にあたっては、写真利用者が検索しやすいよう、各写真に写っている選手を特定し、タグ付けしておく必要があるという。従来は、多い時ではプロ野球1試合あたり3000枚の写真の中から300枚程度の写真を選別し、各球団関係者が試合終了後に約4時間かけて、選手の特定と選手名のタグ付けをマニュアルで行っていた。

 しかし今回、学習済みAI「Microsoft Cognitive Services」、およびディープラーニングフレームワーク「Microsoft Cognitive Toolkit」を写真解析に採用し、AIを活用して画像に選手名を自動でタグ付けする「選手名情報自動タグ付け機能」が実装されたことで、こうした作業の省力化が可能になった。

 具体的には、Microsoft Cognitive ServicesのFace APIを活用した顔認識と、Microsoft Cognitive Toolkitにより作成した独自判定モデルを組み合わせることで、選手の顔が写っていない斜めや横から撮影されている写真であっても、「打撃」「投球」「守備」「走塁」の4つのシーンの分類と、選手名の推定が可能になったという。

「選手名情報自動タグ付け機能」操作画面イメージ図

 また、Azure Durable Functionsを活用した処理の高速化により、「選手名情報自動タグ付け機能」の処理からマニュアルによる最終的な確認作業も含めても、時間を30分程度まで短縮できたとした。この人物特定機能は、2018年6月より、広島東洋カープをはじめとする5球団で試用が開始されており、2019年にはNPB CICを導入している全球団が利用する予定だ。

選手名情報自動タグ付け機能の処理の流れ

 なお日本マイクロソフトは、同機能のモデル開発にあたり、研究開発機関であるMicrosoft Researchのニューラルネットワークモデル「ResNet」を提供するとともに、IMAGE WORKSの開発元である富士フイルムソフトウエアと複数回にわたりハッカソンを開催。検証を重ねることで、本機能における選手名の推定精度を認識率90%以上まで高めたとしている。

 一方、富士フイルムイメージングシステムズでは、プロ野球だけでなくほかの野球団体や野球以外のスポーツにおいても同機能の利用を図るほか、一般企業のコンテンツ活用への展開、さらにビデオ分析機能「Azure Video Indexer」を活用した動画解析なども視野に入れているとのことだ。