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ヤマザキマザック、IoTを活用したコネクテッドサービス「Mazak iCONNECT」を2019年4月より提供開始

 工作機械ベンダーのヤマザキマザック株式会社(MAZAK)は2日、IoTを活用したコネクテッドサービス「Mazak iCONNECT(マザック アイコネクト)」を、2019年4月から提供を開始することを発表した。

 iCONNECTは、ユーザー企業の工場内に設置された設備機器とヤマザキマザックのクラウドサービス「Mazak SMART Cloud」を接続し、Webベースでの稼働状況モニタリング、予兆検知、CNC(Computerized Numerical Control:コンピュータによる数値制御を行う装置)装置内のデータバックアップなどを可能にする。

 また、サポートセンターとのWebチャット、遠隔診断、各種ソフトウェアダウンロードなどをはじめとした各種サポートサービスも受けられるという。

IoTを活用した総合サービス「Mazak iCONNECT」

より充実したサービス・サポートの提供を実現

 iCONNECTは、ヤマザキマザックが推進している「Mazak iSMART Factory」の取り組みの一環となる。

 執行役員 ソリューション事業部長の堀部和也氏は、「いま製造業では、世界的な人件費の高騰、世代交代、労働人口の減少といった問題が、先進国や新興国にかかわらず問題になっている。第四次産業革命において技術革新が進み、人々の働き方が変わっている中で、ヤマザキマザックはどのように対応していったらいいのかを考えてきた。その答えのひとつが生産拠点をスマートファクトリー化する『Mazak iSMART Factory』だ。IT、IoT、ビッグデータ、AIといった技術の適用によって、高度なデジタル製造を可能にし、『常に進化し続ける工場』『新しい価値の創造による、製品やサービスの提供』を実現する」と説明した。

ヤマザキマザック 執行役員 ソリューション事業部長 堀部和也氏
2016年11月にヤマザキマザックとシスコが共同で発表した「Mazak iSMART Factory」のイメージ図

 Mazak iSMART Factoryでは、センサー類を含めたすべての設備機器のデータを収集・分析し、生産改善につなげることができる。しかし、長期間稼働する工作機械は、納入時期によって採用されているOSを含む各種ソフトウェアのバージョンが固定されてしまうことが多く、納入後にソフトウェアがアップグレードされることはまれである。そのため、セキュリティの確保が重要な課題となっている。

 そこでヤマザキマザックは、大手ネットワークベンダーであるシスコシステムズ(シスコ)と共同で、工場専用のネットワークスイッチ「MAZAK SMARTBOX」を開発し、ファクトリーネットワークとオフィスネットワーク、あるいはクラウドと接続する際のセキュリティを確保している。

 MAZAK SMARTBOXについての取り組みは、2015年ごろには開始しており、2016年11月には両社が合同で発表を行っている。

 なお、SMARTBOXは通信プロトコルにMTConnectを採用している。これはMTConnect協会が標準を定めた工作機械、周辺機器、センサーなどのデータ取得に特化した、オープンな通信プロトコルであり、どのメーカーの工作機械でも同じデータ構造でやり取りされることが特徴となっている。

 ヤマザキマザックは、工場の設備機器を“つなぐ”という取り組みを、かなり早い時期から実践している企業でもある。

 2004年に提供を開始した「Maza-Care(マザ・ケア)」では、ユーザー企業の工場に納品された工作機械とサポートセンターを携帯電話回線で接続し、24時間365日体制の保守管理サービスを提供しているが、これは現在のコネクテッド・サービスの先駆けと言えるだろう。

 また、今ではどのベンダーでも当たり前となったオンラインのサポートセンターも、1998年にいち早く立ち上げている。

 そして、今回発表されたiCONNECTは、Maza-Careをさらにアップグレードしたサポートサービスでもある。SMARTBOXを経由して収集された各種データによって、加工完了や予兆検知といった通知機能の拡大、より詳細なデータに基づいた遠隔診断が可能になるという。

 チャットによるオンラインサポートも可能になっており、例えばユーザーがスマートフォンやタブレットで工場の設備機器を撮影した画像を元に診断し、メンテナンス、パーツサポート、必要であれば出張サービスなどを適切なタイミングで提供することができる。

 さらに、ポータルからはさまざまな情報が提供されており、ソフトウェアのダウンロード、トレーニングといったサービスを受けることもできる。

ポータルサイトからは、設備機器の稼働データのモニタリングをはじめ、さまざまな情報が提供される
CNC装置内のデータバックアップ
スマートフォンなどへのアラーム通知
Webチャットによるオンラインサポート。画像や動画を共有して現場の状況を正確に伝えることで、的確なアドバイスを受けられる

 さらにiCONNECTでは、シスコとの協業による新たなテクノロジーも採用されている。通信用ルータにはシスコの「IR809」を採用しており、搭載された4G LTE回線モジュールによって工場とクラウドをVPNで接続する。

 Maza-Careと比較して約8倍という通信速度を実現しており、これまでよりも大容量のデータを高速かつ安全に通信することが可能となっている。

 堀部氏は「シスコのテクノロジーによって、セキュリティを保ちながら大容量データを安全に送ることができる。Maza-Careでは数分の時間を必要としていたデータ取得が、iCONNECTでは10秒程度になる。より充実したサービス・サポートの提供を実現できる」と述べている。

 また、シスコ 業務執行役員 デジタルトランスフォーメーション事業担当 服部正明氏は「スマートファクトリーやコネクテッド・サービスが注目されるようになって数年になるが、いまだに全世界にあるマシン3000万台のうち、90%はネットワークに接続されていない。しかし、これからは加速度的にマシンがネットワークに接続されていくことになる。今後も引き続き、シスコはこの分野に力を入れていく。OT(生産技術)とIT技術を融合し、日本の製造業のIoT化を積極的に支援していく」と述べた。

シスコ 業務執行役員 デジタルトランスフォーメーション事業担当 服部正明氏

 iCONNECTの利用料金は、初年度が、拠点に設置するルータ1台分の費用を含めて37万6000円から、2年目以降は9万8000円から。また、1台のルータで10台程度の工作機械に対応できるという。