ニュース

SAS、オンプレミスとクラウドをつなぐマーケティングソリューション「SAS Customer Intelligence 360」

“ハイパー・コネクテッド・マーケティング・オートメーション”を実現

 SAS Institute Japan株式会社(以下、SAS)は20日、企業内部のデータベースやチャネルシステム、さらには外部パートナーとシームレスに連携するハイパー・コネクテッド・マーケティング・オートメーションを実現する新製品「SAS Customer Intelligence 360」を提供開始すると発表した。同日に行われた会見では、現在のマーケティング・オートメーションが抱える課題と、それを解決する3つの特徴について説明した。

 SASでは、マーケティングソリューション「Customer Intelligence」として、これまで6つのモジュールを展開してきた。

 今回の新製品「SAS Customer Intelligence 360」は、このうち、基本ソリューションであるデジタル・マーケティング「SAS Customer Intelligence 360 Engage」、アクセスログ解析「SAS Customer Intelligence 360 Discover」、クロスチャネル・キャンペーン管理「SAS Marketing Automation」、オペレーション管理「SAS Marketing Operation Management」の4つのモジュールを統合し、機能強化したものとなる。

 これによって、オンプレミス環境とクラウド環境をシームレスに連携するハイパー・コネクテッド・マーケティング・オートメーションを実現するという。

ハイパー・コネクテッド・マーケティング・オートメーションの概念図

 米SAS Institute プロダクトマネジメント Customer Intelligenceプロダクトライン シニアディレクターのミシェル・イガーズ氏は、「ハイパー・コネクテッド・マーケティング・オートメーションは、オンプレミスだけでは機能せず、デジタルのみでも実現できない。オムニチャネルであることが必要であり、これを具現化するのが今回発表した『SAS Customer Intelligence 360』となる。この製品を活用することで、企業は、今日のビジネスニーズに応えるだけでなく、将来のビジネスニーズにも対応できるよう成長していくことができる」と新製品の位置づけを説明。

 「既存のマーケティング・オートメーション・プロバイダは、ほとんどがデジタルマーケティングのみを対象としている。そのため、オンプレミスの資産を活用することができず、パーソナライズされたカスタマージャーニーを実現することは難しかった。『SAS Customer Intelligence 360』では、ハイブリッドクラウドのアプローチによって、オンプレミスの資産とクラウド上のデジタルエコシステムをシームレスにつなぐことが可能になる」と述べた。

米SAS Institute プロダクトマネジメント Customer Intelligenceプロダクトライン シニアディレクターのミシェル・イガーズ氏

 また、SAS ソリューション統括本部 ビジネスソリューション統括部 Customer Intelligenceグループ グループマネージャーの原島淳氏は、「クラウド型で、デジタル接点を対象にした現在のマーケティング・オートメーションでは、オンプレミスに保持しているビッグデータを活用するのは非常に難しいのが実情だ。まず、マーケティング・オートメーションに合わせてビッグデータを加工する必要があり、大きな開発コストがかかる。そして、このデータをインターネット経由でクラウド環境に転送するのに長時間を要する。さらに、クラウド環境の個人情報漏えいリスクも、オンプレミスのビッグデータ活用の障壁となっている」と、現在のマーケティング・オートメーションが抱える課題を指摘する。

SAS Institute Japan ソリューション統括本部 ビジネスソリューション統括部 Customer Intelligenceグループ グループマネージャーの原島淳氏

 これらの課題を解決する「SAS Customer Intelligence 360」の特徴として、原島氏は、(1)オンプレミスのビッグデータとコネクト、(2)内部+外部すべての顧客接点とコネクト、(3)すべての機能が1つの管理ツールとコネクト――、の3つを挙げる。

 具体的には、「オンプレミスのビッグデータとコネクト」では、「SAS Marketing Automation」の統合により、オンプレミスに保持しているビッグデータやAI資産をクラウド環境に移行することなく、「SAS Customer Intelligence 360」から透過的にアクセスし、より安全に活用することが可能となった。

 また、収集されるデジタル顧客接点の接触ログやパブリックDMP(Data Management Platform)などの顧客データと、オンプレミスの顧客データを統合し、あらゆる情報を活用したパーソナライゼーションを実現する。

「SAS Customer Intelligence 360」の概要

 さらに、データマネジメント・ソリューション「SAS Data Management」、AIと機械学習ソリューション「SAS Viya」、Customer IntelligenceマーケティングROI最適化モジュール「SAS Marketing Optimization」のそれぞれと連携することで、顧客接点やIoTデバイスの情報をリアルタイムで取得するリアルタイムストリーミング処理機能、外部パートナーのデータを統合する仮想統合機能を実現。また、AI機能による顧客行動予測やパーソナライゼーション最適化も可能になるという。

 「内部+外部すべての顧客接点とコネクト」では、一般的なマーケティングオートメーションがサポートするメール、スマートフォン、ウェブサイトなどのデジタル顧客接点だけでなく、営業店やコールセンターといったオンプレミスの顧客接点システムと、オープンなAPIでリアルタイムに連携が可能となった。また、API連携のハブとなる「SAS Real-Time Decision Manager」との連携により、外部パートナーの顧客接点や、IoTデバイスともリアルタイムで連携することができる。

 「これにより、デジタル接点からリアル接点、外部接点、IoTデバイスまで、すべての顧客接点を横断して、シームレスなカスタマージャーニーを実行することができる」(原島氏)としている。

 3つ目の「すべての機能が1つの管理ツールとコネクト」では、これまで個別に提供していた各種ソリューションを1つの管理画面から呼び出すことが可能となった。

 「デジタル顧客接点のデータ収集や顧客セグメンテーション、カスタマージャーニーの設計と実行、コンテンツ管理、KPIモニタリング、業績管理、コンテンツ/ジャーニーの最適化まで、マーケティングのPDCAサイクルで求められるすべての機能を、1つの統合管理ツールで容易に操作することができる。マーケターは、複数ツールの使い分けやスキルの習得、ツール間のつなぎを意識せず、より効率的かつスピーディーなPDCAサイクルの運用が可能になる」(原島氏)。

 「SAS Customer Intelligence 360」は、この3つの特徴によって、企業が保持するオンプレミスのビッグデータ、AIアプリケーション、CRMなどの顧客接点システムを最大活用し、最適なパーソナライゼーションをあらゆる顧客接点で実現する。

 さらに、企業内部だけにとどまらず、異業種連携、外部パートナーとの連携による顧客の囲い込みまで、より高度なカスタマージャーニーの実現をサポートするという。