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Dell EMCがモジュラー型インフラ「PowerEdge MX」を発表、“シェアハウス風”のリソース活用へ

 デルとEMCジャパンは12日、モジュラー型インフラストラクチャとなる「Dell EMC PowerEdge MX」を、9月13日より提供開始すると発表した。

PowerEdge MX

 PowerEdge MXは「従来型のワークロードと、ソフトウェアディファインド型など今後変革するワークロードの両方に対応できる、“キネティック”(動的)なインフラストラクチャだ」と、Dell EMC サーバー&インフラストラクチャ ソリューション担当 プロダクトマーケティングディレクターのジョナサン・セクラー(Jonathan Seckler)氏は説明。同製品の開発に至った経緯を、次のように語った。

 「仮想化技術が登場する前は、1台のサーバー上で単一のアプリケーションが稼働していたが、仮想化により、1台のサーバーで複数のワークロードが稼働できるようになり、サーバーの利用率がこれまでの20%から50%程度にまで高まった。しかし、それでもまだ活用されていないリソースが残っており、この部分を解放するには従来のインフラにはない新たな技術が必要だった。その技術こそキネティックインフラストラクチャで、これにより企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が支援できる」。

Dell EMC サーバー&インフラストラクチャ ソリューション担当 プロダクトマーケティングディレクター ジョナサン・セクラー氏

 PowerEdge MXは、シャーシ「PowerEdge MX7000」に、コンピュートスレッドやストレージ、ネットワーキングモジュールなどを組み合わせて利用する。シャーシは7Uサイズで、8つのベイを装備、内部にミッドプレーンを持たないことが特徴だ。このため、コンピュート部分とI/Oモジュールが直接接続され、アップグレードの際にITサービスの中断を伴うミッドプレーンを交換する必要がない。

PowerEdge MXのコンポーネント

 管理の効率化に向け、管理機能も刷新した。PowerEdge MX7000に含まれる管理ツール「OpenManage Enterprise Modularエディション」では、モジュラー内のコンポーネントが一元管理できる。また、ラック型サーバーやほかのモジュラー型ソリューションも単一インターフェイスで管理可能だ。

国内でさまざまな販売施策を準備

 デル 執行役員 インフラストラクチャ・ソリューションズ事業本部 製品本部 本部長の上原宏氏は、「国内でPowerEdge MXを販売するため、さまざまな施策を用意した」と語る。

デル 執行役員 インフラストラクチャ・ソリューションズ事業本部 製品本部 本部長 上原宏氏

 そのひとつは、「キネティックインフラストラクチャ検証センター」の設立だ。港区のDell EMCソリューションセンター内に同日開設し、同製品の機能や性能が検証できるようにする。

 また、社内エキスパート育成プログラムも用意。すでに2月よりサーバーテクニカル営業約130名を対象に実施しているという。

 導入時には、Dell EMCのエキスパートによる導入支援サービス「ProDeploy Plus」を提供する。同サービスでは、専任のプロジェクトマネージャーが導入スケジュールの確定支援やプロジェクト管理を担当するほか、導入後30日間の設定サポートも行う。

 導入に伴う初期コスト削減に向けた施策も準備。「ゼロ金利ファイナンス」プログラムとして、3年間リースが金利ゼロで利用できるようにする。近日中に提供開始する予定だ。

 このほか、マーケティング施策として、製品の差別化ポイントを訴求する「Did You Know?(ご存じでしたか?)」キャンペーンをPowerEdgeサーバーブランド全体で展開する。さらには、技術パートナーとの連携を強化し、パートナー各社との検証体制を構築する。

 上原氏は、PowerEdge MXについて「ワンルームマンションからシェアハウスに引っ越すイメージ。マンションの個室ではほとんど使われていなかった家電が、シェアハウスだとより有効に活用できる。PowerEdge MXはシェアハウスのようにリソースが有効活用できる新しいシステムだ」と述べた。

 PowerEdge MXの価格は、1545万7258円(税別)から。この価格は、MX7000(ネットワークスイッチ、ストレージスイッチ含む)に、サーバーモジュール「PowerEdge MX740C」、ストレージモジュール「PowerEdge MX5016S」、導入サービスおよび保守サービスを含めたもの。これまでのシステムより若干高価ではないかとの指摘に対し、セクラー氏は「パフォーマンスのみならず、(ミッドプレーンを排除するなど)ブレードサーバーの制約をなくしたことなどによるイノベーションの対価と考えてもらいたい。十分価値に見合った価格付けだ」としている。

PowerEdge MXはさまざまな制約から解放されるという