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キヤノンITS、AIプラットフォーム「LaiGHT」を開発、カメラ映像からのイチゴ収穫量予測AI実現へ活用

 キヤノンITソリューションズ株式会社(以下、キヤノンITS)は30日、AI(人工知能)プラットフォーム「LaiGHT(ライト)」を開発したと発表した。キヤノンITSではこのAIプラットフォームを活用して、ネットワークカメラを利用したスマート農業ソリューションの技術開発と実証試験を本格的に推進していく。

 近年ではディープラーニング(深層学習)技術の発展により、画像認識技術の実用化が進み、多くの分野で応用が始まっており、キヤノンITS R&D本部 先進技術開発部では、キヤノンのカメラに代表される光学処理技術をIT分野で活用するため、要素技術である画像認識技術の研究開発に注力している。

 キヤノンITSが提供する働き方改革ソリューション「テレワークサポーター」、教育機関向け授業支援ソリューション「in Campus Scan」などで、この画像認識技術を適用しており、さらに金融事業者様の与信審査業務へディープラーニング技術を応用するなど、画像の枠を超えたAI開発も手掛けている。

AIプラットフォーム「LaiGHT」を活用したソリューション

 一方、こうした増大するAI需要に対し、AIを開発できる人材(AIエンジニア)は限られており、AI開発には最新のAIに関する技術知識や開発スキルを備えた上で、大量のデータと計算機リソースの管理、繰り返し行う学習/評価結果の記録管理など、多岐にわたる煩雑な作業が必要になると説明。

 こうした課題に対し、R&D本部 先進技術開発部では、少数のAIエンジニアで多くのAI開発を迅速かつ効率的に行うための仕組みとして、AIプラットフォーム「LaiGHT」を開発した。LaiGHTは、学習データ管理機能、計算リソース管理機能、学習結果視覚化機能など、AIエンジニアがこれまで個々に実施していた一連の作業を支援し、開発を効率化する機能を備えている。

 キヤノンITSでは現在、このLaiGHTをプラットフォームとして、キヤノンのネットワークカメラを活用した新しいスマート農業ソリューションの開発プロジェクトを、九州大学大学院農学研究院 岡安崇史准教授と連携して行っている。

 また、農林水産省が進める「革新的技術開発・緊急展開事業(うち地域戦略プロジェクト)実証研究型」により、開発した技術の普及を目指した実証も推進しており、カメラの映像からイチゴの生育状況を数値化するAI、生育状況と温度、湿度などの環境データをもとに、イチゴの未来の収穫量を予測するAIの開発に加え、日々のデータ解析の実行基盤としてもLaiGHTが活用されている。

 キヤノンITSでは、LaiGHTを中核にして、顧客個々の要望に応えるさまざまなAIを、柔軟かつリーズナブルに開発できるよう環境整備していくと説明。R&D本部 先進技術開発部では、今後も画像認識分野を中心としたAI技術を活用し、顧客固有の課題や社会的課題を解決する技術の研究開発を展開していくとしている。

カメラを活用したスマート農業ソリューション全体図
イチゴハウス内に取付けられたカメラ
画像から花・成熟度毎の果実を自動判別