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伊藤忠が基幹システム刷新、第1弾は「次世代全社統合データ基盤」

 伊藤忠商事株式会社(以下、伊藤忠)は27日、2001年度から稼働していた基幹システムを全面刷新する第一弾として、「次世代全社統合データ基盤(Data Lake)」をリリースしたと発表した。

 この基盤は、従来のシステムと比べて処理の高速化を実現しているほか、これからのデジタルトランスフォーメーション(DX)の時代を見据え、より高速かつ柔軟にビジネスデータの分析を支援できる点が特徴。会計データに加えて、営業取引にかかわるすべてのデータをデータ基盤に統合し、将来予測などを通じて、付加価値の高いニーズに対応したレポート、ビジネスデータを提供するという。

 さらに、データ分析と活用支援を専門に行う組織「BICC(Business Intelligence Competency Center)」も同時に立ち上げ、現場部署による柔軟なデータ活用を支援するとのこと。

 また伊藤忠では引き続き、2020年度にかけて、販売情報や決算情報のリアルタイム処理による経営判断の迅速化・高度化、連結与信管理の高度化、外貨資金調達の多様化、AIを活用した入出金処理の効率化などの実現により、業務効率化・高度化を支援する新機能を拡充するとしている。

 なお、次世代基幹システムの基盤には、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)の基幹系特化型クラウドサービス「CUVICmc2」を採用し、システムの開発・テスト工程などの迅速化を実現した。

 大規模な基幹システムは一度構築して終わりではなく、長期にわたって継続的に利用されるため、ビジネス環境の変化に伴って、システム変更を行っていく必要がある。伊藤忠では、営業部門からの要求に対して柔軟に対応できる設計を採用したほか、製品バージョンアップに対応するための定周期のシステムアップデートの仕組みや、テスト工程でのツールを用いた検証作業の軽減も踏まえ、運用面でも安定性のあるシステムを構築したと説明している。

 さらに今後は、実使用量に応じた従量課金制の導入により、稼働後の運用も含め、コスト削減を図る考え。このほか、国内の総合商社としては始めて次世代ERPシステム「SAP S/4HANA」を採用しており、データベースのインメモリ技術によってデータ処理スピードを向上させているとのことだ。