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2018年 国内クライアント仮想化市場 ユーザー動向分析調査結果を発表

 IDC Japan株式会社は17日、国内クライアント仮想化市場の動向について、ユーザー調査を分析した結果を発表した。クライアント仮想化導入済み企業の約6割がデジタルワークスペースを導入済みで、業務/用途、利用場所は拡張傾向にあるとしている。

 調査は、クライアント仮想化を導入した企業および導入を検討している企業の経営層、IT管理者、エンドユーザーなど計1100人が対象としたもの。

 調査では、クライアント仮想化導入済み企業550人のうち、55.8%がデジタルワークスペースへを導入しており、その業務/用途、利用場所は多岐に渡り、拡張傾向にあると分析。さらに、クライアント仮想化の導入を検討している企業(550人)においても、39.1%がデジタルワークスペースを検討しており、企業はそれぞれの業務に適合したワークスペース戦略を検討する時期に来ていると分析している。

 さらに、今回の調査対象者全員のうち約3割が、「Windows10 Remote Desktop Modern Interface」「ワークスペースアナリティクスソリューション」「VDIへのAI製品の実装」「Citrix Workspace Hub/Casting」など、次世代のテクノロジーに対し関心を示している。

 調査では、デジタルワークスペースについては、クライアント仮想をベースに、以下の技術/製品/サービスのいずれかが採用されているものと定義している。

  • 仮想化デスクトップ/仮想アプリケーションの多重化/複合化
  • クライアント環境とモバイル環境を融合した仮想化基盤
  • モバイルアプリ/仮想アプリ/Webアプリ/クラウドアプリ
  • 多要素認証技術/2経路認証技術/セキュリティ技術
  • GPU(グラフィクス)仮想化/モバイル仮想化/ネットワーク仮想化/サーバー仮想化/ストレージ仮想化/ユーザープロファイル仮想化

 一方、2018年からサービスが開始されたハイブリッドクラウドDaaS(Desktop as a Service)に対する利用要望は高まっていると分析。特に、データプレーンはプライベートクラウド、コントロールプレーンは(パブリック/プライベート)クラウドDaaSの組み合わせでの利用意向は39.7%に上った。

 また、今回の調査では、デジタルワークスペースがユーザー企業の経営課題/ビジネス課題に対し、どのように貢献したかについてを分析している。「ガバナンス統治とセキュリティポリシー策定」「動的なIT資産と人材の活用」などの経営課題/ビジネス課題へ貢献できたと回答しているIT管理者は4割程度にとどまり、約3割のIT管理者はその効果を「わからない」と回答している。IDC Japanでは、従来からの課題である「ITと業務」を両輪として認識し、取り組む必要があると指摘している。

 IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの渋谷寛氏は、「自社に最適なデジタルワークスペースの構築に頭を悩ますIT管理者や、経営課題/ビジネス課題におけるデジタル戦略を描けない経営層が多い。このような企業は組織の再構築を試みるか、実績のある人材を外部から招聘すべきである」と述べている。

経営課題/ビジネス課題におけるデジタルワークスペース:2018年(出典:IDC Japan)