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Dappが世界を変える? ブロックチェーン基盤の分散アプリ

課題はユーザーと処理性能

 今のDappの状況は、10年前にAppleが直面した「卵が先か、鶏が先か」の問題だとForbesは指摘する。iPhoneを売るには、皆がそれを欲しくなるようなキラーアプリが必要であり、よいアプリが生まれるためには、ユーザーベースが必要、ということだ。

 実際、Dappユーザーはごくわずかしかいない。Juniper Research のアナリストは「分散アプリのトラフィック測定サイトを見ると、ほとんどがユーザー100人未満なのが分かる」とコメントしている。Forbesは「はっきりしたユーザーベースなしでは、Dapp開発者は、サービスへのアクセスや、実行といった早期段階でトークンを販売して課金せざるを得なくなる」と指摘する。成長の足を引っ張りかねない要素だ。

 もう一つは、ブロックチェーンネットワークの性能だ。現時点では、「毎秒、数トランザクションの処理しかできない」状態であり、実用的に使うには、何百万人もの人が使用できるようにブロックチェーンテクノロジーを拡張する方法をみつけねばならない。

 また、The Economistは、もうひとつ、多くのブロックチェーンプロジェクトでの「集中」を指摘する。例えば、ほとんどのbitcoinマイニイングが中国で行われて、トークンの所有権が集中していること、また、ソーシャルメディアプラットフォームSteemitの「Steem power」トークンのように、ユーザーの2%が90%を保有するといったことが起きていることだ。分散の世界の集中である。

 それでもJuniper Researchは来年はDappがかなりの広がりを見せると予想している。「ユーザーは安全で記録された一連のプロセスを望んでおり、利益と安心のために費やす意思がある」とレポートは言う。

 そのカギになるのは、おそらくスマートフォンだ。年内に2つのブロックチェーン対応スマートフォンが登場する予定だという。一つは台湾HTCの「Exodus」。詳細は明らかにしていないが、複数のブロックチェーンプラットフォームに対応し、Dappゲームアプリを組み込むという。

 もう一つはスイスのSIRIN LABSの「FINNEY」だ。同社はAndroidをベースにしたブロックチェーン対応OS「SIRIN OS」を持ち、他メーカーへの拡大も狙う。

 こうしたスマートフォンには、あらかじめDappを利用するための機能が準備されており、決済までがワンストップで利用できる。新しいユーザー体験を提供できれば、Dappが一気に認知されるかもしれない。