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アラクサラ、高精度の時刻同期を実現するPTP機能をスイッチ製品に搭載

 アラクサラネットワークス株式会社は21日、インターネットなどのネットワークを介して、マイクロ秒(100万分の1秒)オーダーの高精度時刻同期を実現するPTP(Precision Time Protocol)機能を、同社のスイッチ製品に搭載すると発表した。

 ネットワークによって接続されている複数の機器の間で時刻を正確に同期させるためには、同期専用の回線を利用するなどの方法があり、専用の回線を利用せずにインターネットなどを介して時刻を同期する方法としては、従来、NTP(Network Time Protocol)機能が使われている。NTPはミリ秒(1000分の1秒)オーダーで時刻同期を実現するが、近年では、さらに高精度な時刻同期を必要とするシステムが増えていることから、イーサネット経由でマイクロ秒オーダーでの時刻同期を実現できるPTP機能の利用が始まっている。

 PTPでは、時刻情報を配信するマスタ装置と時刻情報を受信するスレーブ装置の間で伝送遅延情報交換し、スレーブ装置の時刻を伝送遅延情報で補正することによって、精度の高い時刻同期を実現する。PTP機能に対応するスイッチは、スイッチ内の伝送遅延情報を提供することなどで、より精度の高い時刻同期を可能とする。PTPを利用することで、高精度の時刻同期のために従来必要であった、同期用の専用回線を使わずに、データ通信用のイーサネット回線のみで高い精度を実現することができ、コスト低減や運用の効率化が期待できる。

 アラクサラでは、マスタ装置とスレーブ装置の間で、時刻情報を転送するPTP機能をAX4600Sシリーズに搭載し、2018年7月にリリースする。今後は、PTP機能に対応する製品を順次拡大していく予定。

 高精度な時刻同期を必要とするシステムの例としては、放送局内の映像伝送システムを挙げている。従来から放送局では映像信号の切替などを正確に同期させるために、高い精度を持つ局内基準信号(Black Burst信号)を専用の同軸ケーブルで配信している。PTPを利用することで、映像・音声データ用の光ファイバ(イーサネット)回線を介して同期した時刻情報から、8K放送などで必要とされる高精度の同期信号を生成することができるようになり、これまで局内基準信号を分配する為に用いられていた同軸ケーブルを廃止することが可能となるなど、ケーブル敷設コストや重量の大幅な削減ができ、効率的な運用が可能になるとしている。

 このほか、PTPを利用可能なシステム(アプリケーション)の例としては、次世代携帯電話システム(LTE、5G)、電力システム(発電、送変電)、金融システム(高頻度取引)などを想定している。