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キヤノンITS、数理技術による移動体データ分析技術を開発

営業車のルートや台数の最適化など、グループ企業で実証実験を展開

 キヤノンITソリューションズ株式会社(以下、キヤノンITS)は14日、位置センサーデータを分析することで、トラック運行やルート営業、倉庫での作業動線などの効率向上やコスト削減につなげる、数理技術による移動体データ分析技術を開発したと発表した。

 キヤノンITSでは、同社のR&D本部 数理技術部を中核として、企業活動におけるオペレーションを数理最適化とシミュレーション、データ分析の三本柱の技術で支援しており、需要予測・需給計画ソリューション「FOREMAST」や、輸配送計画ソリューション「RouteCreator」などを提供している。

 昨今では、位置センサーの低コスト化に伴い、データを大量かつ安価に取得できるようになってきたが、こうしたインフラが発達する一方で、取得した大量のデータを企業活動に資する情報として活用しきれていないのが実情だと説明。そこで、移動体に搭載された位置センサーデータを分析することで、トラック運行やルート営業、倉庫での作業動線などを対象とした効率向上やコスト削減につながる知見の発掘につながる、数理技術による移動体データ分析技術を開発した。

 開発した技術では、まず社有車の動態履歴から一連の流れ(ルート)を切り出し、DTW法(Dynamic Time Warping:動的時間伸縮法)をベースとした手法により、ルートの類似するパターンや、他に類似する履歴のない特異パターンを抽出を可能にする。

緯度・経度の時系列一対ごとにDTW法で乖離度を評価
乖離度マトリクスから類似系列に共通する属性を抽出

 この結果を詳細に検討することで、類似するルートを通っている場合には同乗を検討するといったことや、社有車(固定費)の一部をレンタカー(変動費)に置き換えることで費用を削減するといった「代替移動手段へのシフト」の検討が可能となり、従来のマクロ的な積み上げ合算や、ミクロ的な個別のアラート通知では達成できなかった成果になるとしている。

移動体費用の最適配分の例

 開発した技術は、グループ企業のキヤノンMJとキヤノンS&Sの社有車テレマティクスデータに適用し、実証実験を本格展開している。

 キヤノンITSでは今後、R&D本部 数理技術部を中核に、今回の技術開発、実証実験で獲得した実績・ノウハウを生かしながら、開発した数理技術移動体データ分析技術のプラットフォームを整備し、SIコアやソリューションとしてサービス提供、事業展開していく計画としている。