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jwp、Sigfoxを活用したビニールハウス環境管理ソリューションの実証実験を青森県で開始

 株式会社ジョイ・ワールド・パシフィック(以下、jwp)は12日、京セラコミュニケーションシステム株式会社(以下、KCCS)が提供するグローバルIoTネットワーク「Sigfox」を活用し、ビニールハウス内の温度・湿度などのデータを取得・解析・最適化することで、農産物の安定した品質・収量の確保を目的とするビニールハウス環境管理ソリューションの実証実験を開始すると発表した。

 通信に利用するSigfoxネットワークは、IoTに特化して開発・普及が進んでいるLPWAネットワークのひとつで、低コスト・低消費電力・長距離伝送を特徴としている。実験は、地方独立行政法人青森県産業技術センター本部工業総合研究所(以下、工総研)および農林総合研究所(以下、農総研)の協力を受けて実施。Sigfoxネットワークを活用した青森県内初のビニールハウス環境管理ソリューションの実証実験となり、青森県内におけるモデルケースの確立と、県内外への普及展開を目指す。

 実験の対象となるトマト栽培では、高温の影響により花芽の落下および裂果、玉伸び不足が発生により、施設園芸において安定した品質・収量を確保するためには、温度・湿度・二酸化炭素濃度・日射量等のハウス環境の計測・管理が不可欠となる。一方、従来の「人による巡回」では多くの人的工数がかかり、大規模圃場になるほど作業者の負担も大きくなり、作業効率の向上や省力化が望まれている。

 近年では農業の環境計測においても3G・4G(LTE)などのモバイル回線や、Wi-Fi・920MHz帯特定小電力無線などの無線技術を活用したIoT/ICT技術の導入が進んでいるが、導入・運用コストなどの費用対効果や通信距離の問題など今後の普及にあたってはさまざまな課題がある。

 こうした背景から、jwpではSigfoxネットワークを利用することでこれらの課題を改善し、設置場所を選ばず、低消費電力かつランニングコストを抑えたワイヤレスセンサーを開発するとともに、実際に課題を抱えている農家に利用してもらいながら課題解決に取り組み、実用化を目指す。

 実験では、Sigfoxセンサーデバイスからビニールハウス内の温度・湿度・日射量・二酸化炭素濃度などのデータを取得し、アプリケーション(jwp IoT Platform)との連携によりデータの蓄積・可視化、AI学習・予測・アラートなどの検証を行う。

 実験を通じて、計測データを活用したドライミストなどの最適運転制御による高温時の花芽の落下および裂果の防止、玉伸び不足の解消による収量/可販収量の30%向上、巡回などに要する人的工数の削減、機器の導入・運用コストの削減を目指す。

 実験は、興農ファームあおもり(田舎館村東光寺)、農林総合研究所施設園芸部(黒石市田中)で実施。実施期間は6月12日~10月31日(予定)。

 また、6月13日~15日に幕張メッセで開催される「Interop Tokyo 2018」に、実証実験で使用する「Sigfox無線センサデバイス」を展示。また、同じく農作業に関わる重要な問題のひとつである農業トラクターの転倒事故を防止するためのアプローチとして「Sigfoxトラクター転倒通報デバイス」を合わせて展示する。