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キヤノンITS、顧客の声をビジネスに生かすテキストマイニングツールを開発

キヤノンMJの商品企画・開発業務で実用化

 キヤノンITソリューションズ株式会社(以下、キヤノンITS)は24日、顧客の声をビジネスに生かすテキストマイニング技術を核としたVOC(Voice Of Customer)分析ツールを開発したと発表した。

 キヤノンITSでは、同社のR&D本部 言語処理技術部を中核として、テキストマイニング技術を活用したVOC分析ツールを開発。2017年8月から、キヤノンマーケティングジャパン株式会社(以下、キヤノンMJ)において実際の運用を開始しており、オフィス複合機やレーザープリンターなどのコールセンターにおける問い合わせ履歴を集計、分析することで、キヤノン製ビジネス機器の商品企画・開発業務に活用している。

 VOC分析ツールは、ウェブアプリとしてブラウザー上からアクセスでき、複数人が同じデータの分析を行うことが可能。稼働環境はオンプレミス/クラウドを問わず対応可能で、テキストデータ以外にも数値データや時刻データ、カテゴリデータなどを組み合わせて、さまざまな角度から分析できる。データの集計・検索には、高速な検索エンジンのElasticsearchを利用し、日本語処理は独自の実装を行っている。

 ツールには、まず全体として何の話題が多いのかを把握するための「話題俯瞰」の機能が備わっており、頻出する単語と単語間の係り受け関係をネットワーク図で提示することで、分析者が話題の全体傾向を俯瞰できるようにしている。

話題俯瞰のネットワーク図

 より深掘りした分析を行うための機能としては、画面上に表示された時系列グラフ、単語一覧表などをクリックすることで、テキストを絞り込んだ分析が可能。「作成月が2017年10月のテキストのみ」「『欲しい』という単語を含むテキストのみ」といった絞り込み条件を、ほぼクリック操作だけで設定できるようになっており、試行錯誤的な分析を簡単に繰り返し行うことができる。

深掘り分析の画面イメージ

 ツールでは、カテゴリごとの単語辞書を用いて、テキストの階層型カテゴリ分類を行うことが可能。辞書の編集はユーザーが自由に行うことができ、辞書を編集すると分類結果がどう変わるのかをシミュレーションする機能により、適切な単語登録ができる。

 「製品Aは映像がきれいだ」といった製品に対する好意的(ポジティブ)な評価と、否定的(ネガティブ)な評価をしている単語をテキストから抽出し、ワードクラウドと呼ばれる可視化方法で表示するポジネガ分析の機能も搭載。また、他の分析者と分析画面を容易に共有できる機能や、分析結果を業務に組み込みやすくするため、他の業務システムとの連携が容易な構造にしているといった特徴を備える。

 キヤノンITSでも、自社の手帳サービス「ネットde手帳工房」のデジタルマーケティング業務と、ウェブアプリケーション自動生成ツール「Web Performer」のサポート業務において、事業の一環として運用を開始している。「ネットde手帳工房」のデジタルマーケティング業務では、SNS上のユーザーに直接アプローチすることを支援する機能を開発し、業務を効率化している。

 一方、「Web Performer」のサポート業務では、応対ログを保管するデータベースから直接データを取り込む機能や、月次レポートの作成を支援する機能を追加しており、ツールはこうした業務に応じてカスタマイズできる柔軟性を備えているとしている。

 キヤノンITSでは今後、今回のシステム開発・構築の実証実験・実績を生かしながら、ツールをSIコアやソリューションとしてサービス提供、事業展開していく計画。また、R&D本部 言語処理技術部は、今後も顧客の声のさらなる活用を目指し、データと業務の特性に応じた柔軟な技術開発と課題解決支援、研究開発を展開していくとしている。