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富士通とPivotal、パートナーシップ契約によりデジタルビジネス領域での協業を加速

デジタル変革を推進する「富士通アジャイルラボ(仮称)」を開設へ

 富士通株式会社とPivotalジャパン株式会社は10日、パートナーシップ契約「Pivotal Ready Partner Program」を締結し、デジタルビジネス領域で協業すると発表した。同日に行われた説明会では、両社が協業する狙いや具体的な協業展開の内容について説明した。

左から:Pivotalジャパン カントリーマネージャーの正井拓己氏、富士通 デジタルフロントビジネスグループ エグゼクティブアーキテクトの中村記章氏、Pivotal Software サービス事業担当 シニアヴァイスプレジデントのエドワード・ハイアット氏

 今回の協業は、富士通が提唱する「FUJITSU Knowledge Integration」を具現化する取り組みの一環となるもの。このパートナーシップ契約に基づき、富士通は今年度第2四半期から、アジャイル開発と親和性の高いクラウドネイティブ基盤ソフトウェア「Pivotal Cloud Foundry」(以下、PCF)を活用したインテグレーションサービスの提供を開始する。

 また今年度下期には、アジャイル開発手法などを用いて、新たなサービスや事業を顧客と共に開発する場として「富士通アジャイルラボ(仮称)」を開設する。

 Pivotalとの協業の背景について、富士通 デジタルフロントビジネスグループ エグゼクティブアーキテクトの中村記章氏は、「デジタル変革に向けて、ICT活用方法の見直しや開発手法としてアジャイルの適用を求めるニーズが高まっている。これに対して当社では、つながるシステムであるSoE領域を中心にリーンスタートアップとアジャイルへの対応を推進してきた。今後は、SoE領域に加え、SoR領域の基幹システムへの対応も強化し、エンタープライズアジャイルによって、企業の中核事業のシステム改革に取り組んでいく」とした。

富士通 デジタルフロントビジネスグループ エグゼクティブアーキテクトの中村記章氏

 エンタープライズアジャイルに向けた取り組みステップとしては、今年度をステップ1とし「マインド改革&スキルアップ」および「つながるシステム(SoE)の対応強化」を図る。2019年度からは、ステップ2として「基幹システム(SoR)の最適化」を推進し、ゴールである「SoE&SoRの全体最適化」の実現を目指す。

 中村氏は、「今回、このステップ1の実践とステップ2の実現における強力なパートナーとして、Pivotalを選定した。グローバルで培われたリーン&アジャイルの開発方法論や体験型教育、コンサルサービス、さらには『PCF』などのクラウドネイティブ基盤ソフトを富士通に展開することで、SoEの取り組みをさらに強化するとともに、SoRのデジタル化に向けたコンサルとインテグレーションを強化する。また、リーンな実行と改良を実践するための顧客との新たな関係を構築していく」(中村氏)と、Pivotalと協業する狙いを述べた。

 Pivotal Softoware サービス事業担当 シニアヴァイスプレジデントのエドワード・ハイアット氏は、富士通との協業発表にあたり、「当社は、1990年代からソフトウェア開発にアジャイルや迅速なイテレーション、テスト駆動型アプローチなどを導入し、2000年代にはインターネット企業のソフトウェア開発に影響を与える新たなメソドロジーを確立した。そして、2013年からは、先進的なソフトウェア開発手法とクラウドプラットフォームを用いてエンタープライズ領域にも展開。現在は、デジタル変革の推進役として、世界のソフトウェア開発を変革していくことをミッションとしている」と、グローバルでの事業展開とビジョンについて語った。

Pivotal Software サービス事業担当 シニアヴァイスプレジデントのエドワード・ハイアット氏

 富士通とPivotalジャパンの協業による具体的な取り組みとしては、まず、アジャイル開発と親和性が高く、世界のエンタープライズ企業に多くの導入実績をもつクラウドネイティブ基盤ソフトウェア「PCF」を活用したインテグレーションサービスを、今年度第2四半期から開始する。「PCF」は、多様なアプリケーションをさまざまなクラウド環境で総合的に運用できるクラウドネイティブ基盤で、市場の新たな要求に応えるデジタルサービスを短期間に開発することができる。これにより企業は、ビジネスを動かすアプリケーションを継続的に改善しながら開発と運用を含むライフサイクル全般における俊敏性を実現可能となる。

「Pivotal Cloud Foundry」の概要

 また今年度下期には、新たなサービスや事業を顧客とともに開発する場として「富士通アジャイルラボ(仮称)」を、富士通ソリューションスクエア(東京都大田区蒲田)に設立する。このラボでは、両社の強みを統合し、リーンスタートアップとアジャイル開発手法を用いて、SoRとSoEの両輪で顧客の価値創出を支援していく。また、「Pivotal Labs」のエッセンスを注入した「エンゲージメントサービス」(共創型開発体験)での実践を通じて、マインド改革およびチーム作りを支援する。

「富士通アジャイルラボ(仮称)」の1/50スケール完成イメージ

 「Pivotal Labs」についてPivotalジャパン カントリーマネージャーの正井拓己氏は、「Pivotal Labsは、1898年に米国シリコンバレーで創設し、現在、世界30拠点、約1000人のチーム構成となっている。スタートアップからエンタープライズまで、すでに1000社以上の幅広い企業に採用されている。日本では、2016年1月から『Pivotal Labs 東京』を運用開始しており、これまでに多くのエンタープライズ企業のアジャイル開発エンゲージメントを支援してきた」と説明。

 「今回の富士通との協業では、Pivotal Labsのメソドロジーとプラクティスを用いて、企業のソフトウェア開発手法の変革を加速するとともに、『PCF』による最新のクラウドネイティブ基盤の導入を推進していく。これにより、リーン&アジャイル開発から継続リリース、クラウド運用まで、デジタル変革に必要なビジネスサイクルの実装を強力に支援していく」との考えを示した。

Pivotalジャパン カントリーマネージャーの正井拓己氏

 「富士通アジャイルラボ(仮称)」では、Pivotal Labsを活用し、アジャイル開発のコア人材を継続的に育成するとともに、ラボでの実践を通じてコア人材からのスキルトランスファーを図り、アジャイルスペシャリストの人材を育成していく計画。「これに向けて、アジャイルスペシャリスト認定制度を立ち上げ、スキルと経験による実践力の可視化を行う。2020年度末には、リーダー資格以上のアジャイルスペシャリスト550人を目指す」(中村氏)としている。