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2017年の国内SDN市場は512億円規模に、IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は10日、SDN(Software-Defined Network)およびNFV(Network Functions Virtualization)に関する国内市場の予測を発表した。国内SDN市場は成長が軌道に乗り始め、市場形成が進んだことで、2017年の市場規模は521億円規模に達したとしている。

 適用領域別では、データセンターSDN市場は市場が立ち上がって5年以上が経過しているものの、成長に衰えは見られず、2017年も40%以上の前年比成長率で、市場規模は308億円に達したと推計。今後も、「データセンターネットワークの自動化」と「マイクロセグメンテーションの適用」という2つのベストプラクティスを成長の両輪として成長を続け、国内データセンターSDN市場の2017年~2022年の年間平均成長率は24.0%になると予測している。

 一方で、通信事業者が導入するキャリアSDN市場およびキャリアNFV市場は、これから本格的な成長が期待される市場であり、キャリアSDNの「本命」は、「NFV環境の基盤としての導入」「5Gネットワークにおけるネットワークスライシング」「通信事業者のオペレーションの自動化」になると説明。このため、同市場は今後本格的に立ち上がり、2017年~2022年の年間平均成長率は32.7%に達すると予測している。

 キャリアNFV市場については、2017年は低調だったが、今後の成長については楽観視していると分析。5Gサービスに向けた移動体通信事業者の設備投資の再活性化に加えて、新たなMNOの誕生も好材料の一つになり、新規参入するMNOのサービス基盤整備が、キャリアNFVおよびSDNのショーケースになると期待されるとしている。

 企業ネットワークSDN市場は、企業や官公庁、地方自治体に共通するセキュリティ対策の強化といったトレンドを受け、2017年の市場規模は前年比96.5%増と大きく成長。セキュリティ対策という企業ネットワークSDNのベストプラクティスが、企業ネットワーク関連ベンダーだけでなく、ユーザー企業やシステムインテグレーターにも認知されるようになりつつあるとして、2017年~2022年の年間平均成長率は31.3%と今後も継続的な成長を予測している。

 一方、SDN市場はさらなる成長が見込まれるが、さまざまな領域でSDN技術の適用が進む反面、適用領域ごとに異なるSDNコントローラーや管理コンソールを必要とする「SDNのサイロ化」に対する懸念も出てきていると説明。IDC Japanコミュニケーションズ グループマネージャーの草野賢一氏は、「SDNのサイロ化は新たな悪夢であり、断じて避けるべきである。ネットワークごとに異なる管理画面を必要とするソリューションでは、SDNの根源的なメリットである集中管理性が著しく損なわれる。買収したベンダーのソリューションや別の部門が開発した製品をSDNポートフォリオに加える場合は、少なくとも管理コンソールを統合してから、市場に投入すべきである」と述べている。

国内SDN市場 支出額予測、2017年~2022年(出典:IDC Japan)