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NEC、VRに視線追跡・触覚フィードバック技術を組み合わせた新たな法人向けVRソリューションを発表

 日本電気株式会社(以下、NEC)は20日、法人向けのバーチャルリアリティ(VR)技術の活用ソリューションについて、最新のインタラクション技術と連携した新たなソリューションを開発し、これまでの導入実績による知見を生かした最適なソリューション提案を強化すると発表した。

 新たなVRソリューションとしては、「視線追跡(アイトラッキング)」技術と連携した、買い物客視線を可視化する店舗棚割りシミュレーションを開発。店舗における商品棚の共通棚割り情報(PTS:Planogram Transfer Specifications)をインプットすると、VR空間上に自動的に3Dの商品棚を生成し、視線追跡が可能なFOVE製の「VRヘッドマウントディスプレイ」を活用・連携させることで、買い物客の視点で商品棚を見た軌跡をヒートマップとして可視化し、棚割りの効果検証を可能とする。

 従来は、商品棚を実際に構築した上で、視線追跡技術を使ってヒートマップを作成する方法はあったが、VR空間上で再現することで、商品の入れ替えや棚の位置や大きさの変更などが柔軟かつ安価に行えるようになる。視線追跡に対応するヘッドマウントディスプレイはこれまでにもあったが、FOVEの製品は安価に導入が可能だという。

VR空間上に商品棚を生成
ヒートマップをVR空間上に表示
視線追跡が可能なFOVE製のVRヘッドマウントディスプレイ

 また、「触覚フィードバック技術」と連携した臨場感の高いトレーニング体験が可能となるソリューションも開発。VR空間上で、工場などでの各種作業のトレーニングを体験できる従来のVRソリューションに加え、実際に物をつかんだ際の手の感触を実感できるexiii製の「触覚フィードバックデバイスEXOS」を活用・連携させ、より臨場感の高いトレーニングを可能とする強化を行った。

 デモンストレーションでは、NECの「Atermシリーズ」を生産している掛川工場において、トレーニングで用いられているVRコンテンツに、触覚フィードバック技術を組み合わせた例を紹介。触覚フィードバックデバイスEXOSにより、VR空間上でつまんだ物体の固さを感じることができ、製品組み立てなどでより臨場感の高いトレーニングを可能とする。

実際に物をつかんだ際の手の感触を実感できるexiii製の「触覚フィードバックデバイスEXOS」
製品組み立てのトレーニングなどに触覚フィードバックを活用

 また、今後は同デバイスを使った複数人による共同トレーニング作業にも対応予定。現在、法人VRソリューションの導入例としては、一人で行うトレーニングやシミュレーションが中心となっているが、インタラクション技術やコミュニケーション要素を組み合わせることで、より現場の実務に近いマルチプレイヤー型のソリューションも導入が進んでいくと説明。さらに、業務システムとも連携した「業務の仮想化」と呼べる領域への展開も目指していくとした。

 NECでは、工場における生産ラインの作業トレーニングや、海外における工場建設前のユーザビリティ実証など、自社でVRを活用している。さらに、2016年から法人向けに「VRお試しパック」などVR活用ソリューションを提供しており、交通・製造・リテール・官公庁などさまざまな業種に対してVR活用ソリューションをこれまでに30社以上に導入している。

 こうした法人市場におけるVR活用シーンの知見を生かすとともに、NECソリューションイノベータの人間工学/人間中心設計専門家による次世代ヒューマンインタラクション技術/コンサルテーションを組み合わせることで、現場で費用対効果を創出するシナリオを顧客と共創し、最適なVRソリューションの提案を強化するとしている。

NECの法人向けVR活用ソリューション 今後の展開