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深層学習で建築物の劣化個所を自動診断、日立システムズが「ドローン運用統合管理サービス」を強化

 株式会社日立システムズは20日、ドローンの操縦や撮影代行、撮影した画像の加工・診断、データの保管・管理などをワンストップで提供する「ドローン運用統合管理サービス」を強化すると発表した。株式会社日立建設設計の建築物診断ノウハウ、AI技術を活用して、劣化個所の「自動劣化診断機能」を4月より提供する。

 今回発表された自動劣化診断機能では、ドローンなどで撮影した写真データから劣化個所を自動抽出する機能。深層学習(ディープラーニング)を活用した診断モデルと、ひびなどの写真データを蓄積したデータベースを用いて写真を診断することにより、大量の点検写真の中から、劣化個所が写った写真を自動で抽出するという。

 これにより、従来は目視に頼っていた劣化個所の判定を自動化できるだけでなく、作業者によって異なっていた判定基準の標準化を図れるため、点検作業の効率化と標準化に寄与するとした。

 また、ドローン運用統合管理サービスでは、ドローンで撮影した2次元画像(写真)から構造物全体の3次元モデルを生成する機能を提供しているが、自動的に抽出された劣化個所は、この3次元モデル上でも管理することができる。

 さらに、劣化個所にマーキングやコメントなどを入れた状態で、あらかじめ定めたフォーマットの報告レポートに画像データとして取り込み、点検結果報告書を自動生成する機能を備えた。

 このほか、維持保全計画を策定する工程では、劣化状況に応じた優先度なども含めたうえで、日立建設設計とともに維持保全計画を提案する。これらにより、これまで多くの時間を要していた点検作業の後工程においても、作業効率を向上可能としている。

 なお自動劣化診断機能は、点検対象物として、まずはビルなどの建築物向けに提供を開始。今後は、橋梁やトンネル、プラントなどにも順次提供範囲を拡大する予定だ。