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ガートナー、日本国内の企業によるクラウドアプリケーション開発に関する動向調査の結果を発表

大企業では既に6割がクラウド上でのアプリケーション開発を推進

 ガートナージャパン株式会社(以下、ガートナー)は27日、日本国内の企業におけるクラウド上でのアプリケーション開発(AD)に関する調査結果を発表した。

 調査は、日本国内企業の情報システム部門責任者を対象として、2017年4月~6月に実施。クラウドアプリケーション開発の実施状況、開発手法や言語、稼働環境、開発対象の選定基準、期待事項などを、業種や従業員数規模別に分析した。有効回答数は759社。

 クラウド(パブリック/プライベート含む)上における、アプリケーションのスクラッチ開発の実施状況については、今後実施予定の企業も含めて開発を推進している企業の割合は全体の24%にとどまったが、従業員数2000人以上の大企業では60%以上と高い割合となった。

クラウドADの実施状況(従業員数規模別)(出典:ガートナー)

 クラウドADの対象となるアプリケーションの選定基準については、「社外向け」(14%)よりも「社内向け」(56%)、「基幹系」(26%)よりも「周辺系」(38%)というそれぞれ回答が多かった。大規模な基幹系アプリケーションから着手するのではなく、比較的軽量な周辺系のアプリケーションからクラウドでの開発を試みる、あるいは影響の大きい社外向けアプリケーションではなく、まずは社内向けで試すという傾向が見て取れるとしている。

 クラウドADについては、58%の企業がIT部門主導で行うべきであると考えているものの、管轄部門がどこであるかをアプリケーション選定の「基準としない」企業も多く見られた(31%)。

 また、調査では、今後実施予定を含めてクラウドADを推進している企業に対して、クラウドADへの期待事項(複数回答)、期待どおりに実施できたこと、できなかったこと(それぞれ3つまで選択可)についても尋ねている。

 期待事項の上位6項目には「ADのスピード」「ADのコスト削減」「他システムとの連携」「開発環境の維持負担の軽減」「ADの生産性向上」「ADの品質向上」が挙げられた。

 クラウドADで期待どおり実施できたとする割合が50%以上に達した項目は、「他システムとの連携」「AD拠点の分散化対応」「ITスキルの低い開発者の参画」「ADプロセスの整備と標準化」の4項目となった。

 一方、期待外れの割合が期待どおりを上回った、あるいは期待どおりという回答がゼロだった項目は、「ADの品質向上」「ADのコスト削減」「ADプロセス全体での複数ツールの統合労力の低減」「ADプロセス自動化率の向上」「DevOpsの実現」の5項目となった。

項目ごとの期待どおりと期待外れの場合(出典:ガートナー)

 ガートナージャパンのリサーチディレクターである片山治利氏は、「ユーザー企業がクラウドADに取り組む際に最も重要なのは、その目的と期待事項を社内で明確にすることです。そして、その目的が達せられるかどうか、言い換えればクラウドADのメリットは何かを慎重に検証した上で、どのようなアプリケーションをクラウドで開発するかについて基準を設定すべきです」と述べている。