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セールスフォース、従業員エンゲージメントを実現するSalesforceの活用例を紹介

“働きがいのある会社創り”に関するプレスセミナーを開催

 株式会社セールスフォース・ドットコム(以下、セールスフォース)は26日、「『働き方改革』のその先へ 働きがいのある会社の創り方」と題したプレスセミナーを開催した。

 今回のセミナーでは、株式会社リンクアンドモチベーション 執行役員の麻野耕司氏を招き、従業員エンゲージメントの実現によって社員のモチベーションを高めるためのポイントおよびその業績効果について説明したほか、従業員エンゲージメントを実現するためのSalesforceソリューションの活用例について紹介した。

リンクアンドモチベーション 執行役員の麻野耕司氏

 麻野氏は、まず従業員エンゲージメントが注目されている背景について、「昨今、商品市場はソフト化が進み、労働市場は流動化が進んでいる。この2つの市場変化にともない、企業では労働市場に選ばれる『重要性』と『難易度』が高まっており、労働市場への適応が至上命題となりつつある。そこで、働きがいのある会社創りに向けて、世界的に人事・経営の重要キーワードとなっているのが、従業員エンゲージメントである」と指摘。

 「従業員エンゲージメントは、企業と従業員の相互理解や相思相愛度合いを示すもので、企業のPhilosophy、Profession、People、Privilegeの“4P”が従業員エンゲージメントを左右する大きな要因と考えている」と述べた。

 従業員エンゲージメントの高さが企業に与える影響としては、「生産性の向上」「退職率の抑制」「戦略実行度の向上」「顧客満足度の向上」の4点を挙げる。

 「当社と慶応義塾大学ビジネス・スクール岩本研究室の共同研究結果によると、従業員エンゲージメントスコアが高い企業ほど、翌年の売上および純利益の伸長率も高くなる傾向がみられた」(麻野氏)と、従業員エンゲージメントは企業の業績向上に大きく影響することが示唆されたという。

エンゲージメントスコアと業績の関連性

 しかし、日本企業の従業員エンゲージメントスコアは、世界各国に比べて非常に低いのが実情で、OECD加盟国35か国を対象にした調査では、「自分の仕事に、全く/非常に/ある程度満足している社員の割合」は平均値(80.9%)を下回る72.4%、また、24か国を対象に調査した「雇用状況に満足している社員の割合」では、日本が最下位であったという。

 こうした中で、日本企業が従業員エンゲージメントを高めるポイントについて、麻野氏は、「まず、組織にエンゲージメントスコアという“ものさし”を取り入れること。そして、このスコアを定量指標として、PDCAを回していくことが必要だ。また、採用・育成・風土・制度といった企業と従業員の接点を、ITツールも含めて、従業員エンゲージメントの視点からいかにリデザインできるかも重要になる」との考えを示した。

Salesforceは従業員エンゲージメントの向上にも活用可能

 次に、セールスフォース プロダクトマーケティング シニアマネージャーの伊藤哲志氏が、従業員エンゲージメントの実現に向けたSalesforceソリューションについて紹介した。

セールスフォース プロダクトマーケティング シニアマネージャーの伊藤哲志氏

 「当社では、顧客エンゲージメントを向上するテクノロジーとしてSalesforceを提供してきたが、これは従業員エンゲージメントの向上にも活用することが可能だ。リクルーティングから採用管理、社内ヘルプデスク、研修/キャリア育成、パフォーマンス管理、退職者との関係維持まで、従業員ジャーニーをSalesforce上ですべて設計することができる」と、Salesforceは従業員エンゲージメントを支えるプラットフォームとしても活用できると訴えた。

Salesforceで設計する従業員ジャーニー
従業員エンゲージメントを支えるSalesforceプラットフォーム

 そして、社内での導入実績を踏まえて、「ワークスタイルの確立」、「ライフスタイルの確立」、「イノベーションの創出」の3つの視点から、従業員エンゲージメントを高めるためのSalesforceテクノロジーの活用例を説明した。

 「ワークスタイルの確立」では、社員に企業文化の理解を浸透させ、業務の効率化を高めるために、CEOが発信する「V2MOM」(Vision、Values、Methods、Obstacles、Measures)をベースに、Salesforceのプロセスビルダー機能を利用し、業務プロセスの統合、自動化・省力化を実現。プロセスビルダー機能では、業務プロセスの設定をマウス操作で容易に行うことができ、ノンコーディングで業務効率の最適化を図ることができるとしている。

 「ライフスタイルの確立」では、リモートワークに対応し、社員一人ひとりに合わせたワークスタイルを実現するとともに、社員の「働きがい」をワンツーワンでサポートする。「どんな情報をどのようなタイミングで必要とするかをデータ分析し、社員のプロファイルごとにジャーニーをカスタマイズする。具体的には、各個人に有益な情報をメールで配信し、開封率やクリックレートに応じて配信内容を調整していく。現在、社内での開封率は90%に達している」(伊藤氏)という。

 「イノベーションの創出」では、モチベーションの向上および部門間シナジーの創出に向けて、Chatterによる社内SNSを導入。また、コラボレーションプラットフォームのQuipを活用し、社員同士が情報格差なく、自由にコラボレートできる環境を作り、一人ひとりが自律的に行動できるよう促している。

 なお、同社では、Salesforceソリューションを活用した働き方改革を推進した結果、社員の96%が「仕事を完了させるために進んで役割や枠組みを超える」と回答したほか、89%が「3年後も在籍している」と予想。さらに、「Salesforceを推薦する意思がある」との回答は87%に達し、新入社員の55%が社員の紹介で入社していると説明している。