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製造機械の「音」「振動」をAI分析して故障予知、NTT Com・太平洋工業・岐阜大学が実証実験

 NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)、太平洋工業株式会社、国立大学法人岐阜大学の3者は18日、太平洋工業の工場内で収集した製造機械の動作音や振動データをAIを用いて解析し、検知した動作音や振動の変化から製造機械の故障を予知する実証実験を開始した。

 太平洋工業は、タイヤバルブ、バルブコアは国内シェア100%、世界シェア20%を超える、自動車用プレス・樹脂製品、TPMS(タイヤ空気圧監視システム)、電子・制御機器製品の製造・販売を行う専門メーカー。太平洋工業では、これまで経験を積んだ従業員が製造機械故障の兆候察知に努めてきたが、全件把握は難しく、製造機械の故障による突発的な稼働停止時間の損失を減らすことが課題となっていた。

 そこで、太平洋工業は、AIを活用した製品の状態監視や化学製品の品質予知に関するノウハウを保有するNTT Com、ものづくり分野における先端研究を推進する岐阜大学のそれぞれと、動作音や振動データから製造機械の変化を検知し、故障を予知する実証実験を開始する。これにより、製造機械の故障を事前に回避することで、工場の稼働率を向上させ、製品の安定的な生産を目指す。

AI技術を用いて動作音や振動の変化を検知し、故障を予知する実証実験

 取り組みとしては、太平洋工業の工場で、製造機械の動作時にAI技術の一種であるディープラーニングを用いて、NTT Comと太平洋工業が「正常音とのずれを検知し、故障を予知する実証実験」に取り組み、太平洋工業と岐阜大学が「振動の変化を検知し、故障を予知する実証実験」を行う。これらの実証実験から、製造機械の故障予知精度に関する検証を行う。

 正常音とのずれを検知し、故障を予知する実証実験では、太平洋工業の工場内に取り付けた集音マイクを通じて、製造機械の動作音データをクラウド上に蓄積する。その後、収集した動作音データを、NTT研究所の「ノイズキャンセル技術」、およびAIを活用した「音の特徴解析技術」と「正常音とのずれを検知するモデル」を用いて、動作音が正常かどうかを判別するシステムの開発を行う。AIにはNTTグループのAI関連技術「corevo」を活用する。

 振動の変化を検知し、故障を予知する実証実験では、太平洋工業の工場内に取り付けた無線式3軸加速度センサーから、製造機械の振動データを収集する。岐阜大学のAIを活用した「振動解析技術」と「振動の変化を検知するモデル」を用いて、振動が正常かどうかを判別するシステムの開発を太平洋工業と岐阜大学で行う。

 NTT Com、太平洋工業、岐阜大学では、動作音や振動データを継続的に収集し、音や振動の変化を検知し、製造機械の故障予知の精度向上を目指していく。また、NTT Comでは、正常音とのずれを検知する技術や、マルチモーダル分析のノウハウを活用し、これらの知見を製造業向けAIソリューションとして提供していく。