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2016年の国内IoTセキュリティ製品市場規模は前年比27.5%増の518億円、2021年には1250億円規模に~IDC Japan調査
2017年11月6日 14:50
IDC Japan株式会社は6日、国内IoTセキュリティ製品市場の予測を発表した。2016年の国内IoTセキュリティ製品市場規模は前年比27.5%増の518億円、同市場の2016年~2021年の年間平均成長率は19.3%で、2021年の市場規模は1250億円に達するとしている。
IoTセキュリティ製品市場については、IoT環境におけるセキュリティ対策製品市場で、ハードウェア製品とソフトウェア製品の2つの製品セグメントに分類し、市場規模算出/市場予測を行っている。
ハードウェア製品には、物理的なセキュリティアプライアンス製品やセンサー/モジュールやサーバー、ストレージなどに組み込まれているセキュリティハードウェアモジュールなどが含まれる。ソフトウェア製品は、IoTソリューションとネットワークのセキュリティ対策に向けた、アナリティクスソフトやアプリケーションソフト、IoT向けプラットフォームなどが含まれるセキュリティソフトで、既存のセキュリティソフトも含まれる。
この分類による内訳では、国内IoTセキュリティ製品市場におけるハードウェア製品市場は、2016年の市場規模は144億円、2016年~2021年の年間平均成長率は15.1%で、2021年には2016年比で約2倍の291億円に拡大すると予測。ソフトウェア製品市場は、2016年の市場規模は374億円、2016年~2021年の年間平均成長率は20.7%で、2021年には2016年比で約2.6倍の960億円に拡大すると予測している。
IDC Japanでは、現状では製造機械の稼働状況の把握や遠隔制御などを目的としたユースケースが非常に多くを占めており、製造工場内ネットワークや遠隔制御用ネットワークなどに対するネットワークセキュリティアプライアンス製品の導入が先行していると分析。こうした用途では、信頼性や耐久性を備え、多様な機能を持ったセンサー/モジュールを数多く活用することが不可欠で、今後はセンサー/モジュールに組み込まれたセキュリティハードウェアモジュールの導入が進むと予測している。
ソフトウェア製品では、あらゆる産業セクターのさまざまなユースケースにおいて、支出が加速していくと予測。たとえば、製造/資源セクターにおいては、既存のオンプレミスで運用していたIoTの利用環境のクラウド移行や、新規にIoTクラウドプラットフォームを導入するケースが、2017年から2019年にかけて進むと見込まれるとしている。
また、流通/サービスセクターでは、オムニチャネルオペレーション用途のIoTシステム上で、在庫管理の最適化や顧客購買行動分析を目的としたアナリティクスソフトへの支出が加速すると予測。個人消費者/クロスインダストリーセクターでは、2019年から2021年にかけて宅内のスマート家電やパーソナルロボットなどスマートアプライアンス用途のIoT機器の制御を目的としたアプリケーションソフトへの需要が高まることが見込まれるとして、こうしたIoTクラウドプラットフォームやアナリティクスソフト、アプリケーションソフトにセキュリティソフトが組み込まれて展開され、市場が拡大していくことが予測されるとしている。
さらに、2017年5月に世界的規模で猛威を振るったランサムウェア「WannaCry」により、インターネットに接続されたIoT機器や制御系システムへのランサムウェア攻撃の脅威が差し迫っていることが如実に現れたとして、インターネットに接続しているIoT機器や制御システムなどでのサイバー攻撃が現実的な脅威となり、IoT環境へのサイバーセキュリティ対策への導入が進展すると予測している。
IDC Japanソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの登坂恒夫氏は、「IoTセキュリティ製品ベンダーは、セキュリティ業界内でのパートナーエコシステムを構築するばかりでなく、IoTセンサーやデバイスベンダー、IoTプラットホームベンダーなどセキュリティ業界を超えたパートナーエコシステムを構築すべきである。それによって、シームレスなIoTソリューションと強固なセキュリティソリューションの提供が行える」と述べている。