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Dell EMC、ひとり情シスに悩む中堅企業の支援を本格化

コミュニティサイト開設など4つのソリューション・プログラムを発表

 デル株式会社とEMCジャパン株式会社(以下、Dell EMC)は20日、“ひとり情シス”に悩む中堅企業(従業員100名以上1000人名未満)のビジネスを本格的に支援するために、ひとり情シスの実態を調査・分析し、この結果を踏まえた新たなソリューション・プログラムを本日より提供開始した。同日に行われた記者説明会では、ひとり情シスの実態調査の結果について紹介するとともに、ひとり情シスの支援に向けた4つの施策を発表した。

 中堅・中小企業では情報システム部門がなかったり、あったとしても1名の担当者のみが対応するといった“ひとり情シス”の状況がよく見られる。Dell EMCでは今年、中堅企業にフォーカスした施策を強化しており、その中で、このようなひとり情シスの実態と課題について調査してきたという。

 デル 執行役員 広域営業統括本部長の清水博氏は、これまでの取り組みについて、「今年2月から10月にかけて、中堅企業向けセミナーを全国17都市で開催し、合計510名の出席者から95.5%の満足度を得た。2月には、中堅企業のIT投資動向に関する調査結果を発表し、これを受けて中堅企業向けのインサイドセールスを大幅に増員した。また、4月から5月に、中堅企業のバックアップ環境についての追跡調査を実施。そして、6月には、ひとり情シスを支えるクラウドサービスを発表した」と説明。

 「これらの取り組みを通じて、ひとり情シス関連のさまざまな情報を収集し、分析した結果、ひとり情シスが抱える不安点が浮き彫りになってきた。そこで今回、ひとり情シスを本格的に支援するべく、新たなソリューション・プログラムを提供する」としている。

Dell EMC、ひとり情シスに悩む中堅企業の支援を本格化 デル 執行役員 広域営業統括本部長の清水博氏
デル 執行役員 広域営業統括本部長の清水博氏

 ひとり情シスの実態調査としては、同社が昨年末から実施してきた中堅企業向けの「IT投資動向調査」(2016年12月26日~2017年1月20日)、「バックアップ関連調査」(2017年4月26日~5月19日)、「仮想化動向調査」(2017年8月2日~8月25日)について、特に予算や人的リソースに悩む、ひとり情シス企業にフォーカスを当てて分析を行ったという。

 この分析結果について、デル インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 法人営業本部 広域営業部 セールエンジニアリング部長の木村佳博氏は、「従業員の増員計画は、ひとり情シス企業が一般企業に比べて多い傾向(ひとり情シス企業41%、一般企業33%)にあり、IT担当者の負荷の高止まりが待ったしの状況となっている。また、IT予算の決定サイクルは、突発的に決定するケースが多く(ひとり情シス企業46%、一般企業22%)、中長期的なIT戦略の策定が難しいのが実情である」と話す。

 また、「サーバー仮想化は、ひとり情シス企業の55.5%が活用していないと回答。あわせて、ひとり情シス企業の54.3%がシステム・データ復旧に自信なしと回答しており、最新のバックアップ技術の情報収集・導入のための時間確保ができていないことが想定される。さらに、ひとり情シス企業の41%が海外展開を進めており、IT資産の棚卸しが必須となっている」と、ひとり情シス企業が直面しているIT課題を指摘した。

Dell EMC、ひとり情シスに悩む中堅企業の支援を本格化 デル インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 法人営業本部 広域営業部 セールエンジニアリング部長の木村佳博氏
デル インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 法人営業本部 広域営業部 セールエンジニアリング部長の木村佳博氏

 これらの課題を解決するため、Dell EMCでは今回、ひとり情シスを支援する新たなソリューション・プログラムとして、(1)「ひとり情シス コミュニティ」サイトの開設、(2)「ひとり情シス大学」の開校、(3)「可視・定額型サポートメニュー」の提供、(4)ひとり情シス向け「終活ソリューション」の提供――、といった4つの施策を展開していくことを発表した。

 「ひとり情シス コミュニティ」サイトは、Dell EMCの顧客同士の情報交換コミュニティとして開設するSNS専門ページ。「このコミュニティでは、外部開催のイベントやセミナーへの参加が難しいひとり情シスに向けて、日常のIT運用で起こり得る問題を質問できるQAサイトを運用開始する。QAサイトで質問に答えると、デルコインがもらえ、取得数によって特典を提供する。また、コミュニティを活用するユーザーでのオフ会(ユーザー会)を開催することも予定している」(木村氏)という。

 「ひとり情シス大学」は、“社内に相談できる先輩社員がいない”、“勉強会やセミナーへの参加が難しい”、“変化の多いIT業界の中で学び続ける環境がない”という、ひとり情シスの悩みを受けて開校するもの。Dell EMCの顧客向けに、「ひとり情シス大学」の特設ポータルサイトを開設し、ひとり情シス担当者に役立つビデオ講座を提供していく。

Dell EMC、ひとり情シスに悩む中堅企業の支援を本格化 「ひとり情シス大学」のカリキュラムマップ
「ひとり情シス大学」のカリキュラムマップ

 同大学の校長を務める木村氏は、「『ひとり情シス大学』では、技術スキルに関する講座やコミュニケーションに関する講座、ITガバナンスに関する講座など、全150講座のカリキュラムを提供する予定で、そのうち初級編が18科目(90講座)、応用編が12科目(60講座)となる。まずは、初級編を2018年4月から半年間かけて提供し、応用編については企業内コンサルティングなどから提供していく。各科目完了後には習熟試験を実施し、点数により単位を授与する。初級編・応用編完了時にも修了試験を実施する」と、ひとり情シス大学の概要について紹介した。

Dell EMC、ひとり情シスに悩む中堅企業の支援を本格化 「ひとり情シス大学」の校長を務める、デル インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 法人営業本部 広域営業部 セールエンジニアリング部長の木村佳博氏
「ひとり情シス大学」の校長を務める、デル インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 法人営業本部 広域営業部 セールエンジニアリング部長の木村佳博氏

 「可視・定額型サポートメニュー」では、業務内容が多岐にわたり、ブラックボックス化しているひとり情シスの業務を可視化するため、各種サポートメニューを提供する。メニューは、ひとり情シスが手がけている業務内容に細分化しており、定額料金で提供することで、業務の可視化に加えて、各業務に対する適正価格を判断できるよう支援する。

Dell EMC、ひとり情シスに悩む中堅企業の支援を本格化 ひとり情シス業務の「可視・定額型サポートメニュー」
ひとり情シス業務の「可視・定額型サポートメニュー」

 最後の、ひとり情シス向け「終活ソリューション」では、ひとり情シスから脱却し、次の一手を実現するためのソリューションを提案する。木村氏は、「これは、決して後ろ向きなものではなく、次の担当者へのバトンタッチや社内ITを透過的に情報管理できるようにすることが目的。まずは、システム関連ドキュメントを常時最新化し、システム構成図の陳腐化から脱却するソリューションと、システムおよびデータ復旧を仕組み化するソリューションを提供する。今後は、業務SLAの確保や資産管理の適正化、IT人材の確保、攻めのITを支援するソリューションを段階的に提供していく」との考えを示した。

Dell EMC、ひとり情シスに悩む中堅企業の支援を本格化 ひとり情シス向け「終活ソリューション」
ひとり情シス向け「終活ソリューション」