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NEC、 AI時代に向けたExpress5800サーバーの新モデルを発表

「RAPID機械学習」のGPU対応などAI関連製品・サービスも強化

 日本電気株式会社(以下、NEC)は25日、x86サーバー「Express5800」製品群の強化として、最新のインテル Xeon スケーラブル・プロセッサー ファミリーを搭載するとともに、GPUボードを搭載可能なモジュラーサーバー1モデルと、2ソケットのラックサーバー2モデルを、8月より順次出荷開始すると発表した。

 あわせて、最先端AI技術群「NEC the WISE」の1つである「NEC Advanced Analytics - RAPID機械学習」(以下、RAPID機械学習)のGPU対応、顔認証専用サーバー「NeoFace Accelerator Platform」の製品化、サーバー自律運用支援サービス「サーバ診断カルテ」の提供など、AI関連の製品・サービス強化も発表し、Express5800サーバー新製品との組み合わせにより、AI時代を支えるプラットフォームを実現していく考えを示した。

 NEC 執行役員の西村知泰氏は、25日に開催された新製品説明会で、AIにフォーカスした製品強化を実施する背景について、「近年、コンピュータの処理性能が急速に向上し、データ量の膨大化が進むなかで、いよいよAI技術が実用化の段階に入ってきた。AIを活用し、人のノウハウをデジタル化することで、今までIT化・自動化が難しかった業務や、人間でなければ処理できなかった業務についても効率化・省力化を図ることが可能となる。また、労働力人口の減少による企業活動への影響が懸念されているが、AIの活用は労働力不足を補うことにもつながると考えている。当社では、1994年にx86サーバーのExpress5800を投入し、企業システムを支えるICTプラットフォームを提供してきたが、今後は、労働力減少の対策として、AIの領域について継続的に製品強化を行っていく」と述べている。

NEC 執行役員の西村知泰氏

 今回発表したExpress5800の新製品は、性能・拡張性・保守性に優れ、多様なシステムに適応するモジュラーサーバー「Express5800/D120h」および、2ソケットのラックサーバー「Express5800/R120h-1M」と「Express5800/R120h-2M」の全3モデル。

 すべてのモデルで最新インテル Xeon スケーラブル・プロセッサー ファミリーを採用するとともに、GPUボードの搭載を可能としている。また、これにあわせて、ディープラーニング技術を搭載した「RAPID機械学習」の画像解析版において、GPU対応と処理最適化を実施。これにより、学習・予測処理に関して従来のプロセッサ処理に対し約10倍の高速化を実現したという。

Express5800サーバーの新製品ラインアップ

 NEC ITプラットフォーム事業部長代理の馬渕淳氏は、「当社では、労働力人口の減少に対して、AI技術により業務効率化や自動化を推進することで、現場の課題解決を支援してきた。今回の新製品は、この取り組みをさらに加速させるものとなる。例えば、GPU搭載のExpress5800新モデルと、GPU対応のRAPID機械学習を組み合わせることで、製造業の工場ラインでは、熟練技術者不足や品質改善などの問題を解決し、従来の検査員によるサービスレベルを維持した現場適用が可能となる」と、その導入メリットを説明した。

NEC ITプラットフォーム事業部長代理の馬渕淳氏

 また、同社では、顔認証AIエンジン「NeoFace」を大幅に高速化した「NeoFace Accelerator Platform」を国内で製品化し、今年度下期に出荷開始する予定だ。同製品は、リアルタイム顔認証ソフトウェア「NeoFace Watch」とハードウェア・アクセラレーター「NeoFace Accelerator」を組み込んだ顔認証専用サーバー。顔検出速度において、従来よりも最大20倍の高速化を実現したという。「高精度な顔認証製品を活用することで、迷子対策やセキュリティ強化が必要な群衆環境において、最低限の人員で瞬時に居場所を確認して対処することができる」(馬渕氏)としている。

 さらに、サーバー自律運用支援サービスの強化として、サーバーの保守契約を締結して8いる顧客向けに「サーバ診断カルテ」を新たに提供する。同サービスでは、定期的にサーバーのログを収集することで、人間の健康診断のように定期的にサーバーを診断し、作成したカルテを提供する。これにより、最新のシステムの構成状況や稼働状況を見える化し、故障予兆などを顧客自身で容易に把握することが可能となる。同サービスは、今回の新製品向けに9月下旬から提供を開始し、今後の新製品にも対応していく。また、来年度以降は、NECのエンジニアがリモートでトラブル解決やアップデートを行うリモート診断/運用や、AI分析による故障の予兆保守を順次提供する予定。

「サーバ診断カルテ」の概要

 なお、Express5800新製品の各モデルの特徴は以下の通り。「Express5800/D120h」は、2ソケット 1Uラックサーバー同等の性能と拡張性を備えた、2Uサイズに4ノード搭載が可能な高密度型モジュラーサーバー。最大26コアの最新CPUを採用し、1ノードあたり最大2TBのメモリ搭載が可能で従来機比約25%の性能向上を実現した。大規模な仮想化統合基盤やハイパーコンバージドインフラなど高集積を求められるニーズに最適となっている。また、AI処理向けにGPUボードを搭載可能な、2Uサイズに2ノード搭載の製品を新たにラインアップとして追加した。

「Express5800/D120h」の高密度実装モデル
「Express5800/D120h」のGPGPU対応モデル

 「Express5800/R120h-1M」と「Express5800/R120h-2M」は、最大28コアの最新CPUを採用、CPUラインアップを従来機比で大幅に拡充し、かつ約50%の性能向上を実現した2ソケット ラックマウントサーバー。「R120h-2M」では内蔵ストレージを最大30台、「R120h-1M」では最大11台搭載可能とし、高速・大容量処理に最適化した。中・大規模のデータ処理基盤やサーバー仮想化統合基盤、ハイパーコンバージドインフラに最適なモデルとなっている。

「Express5800/R120h-1M」
「Express5800/R120h-2M」

 価格(税別)は、「Express5800/D120h」が37万5000円から(9月26日出荷開始)、「Express5800/R120h-1M」が56万8000円から(8月23日出荷開始)、「Express5800/R120h-2M」が64万円から(8月23日出荷開始)。「NEC Advanced Analytics - RAPID機械学習(画像解析V2.1 GPU版)」が2250万円から(8月1日出荷開始)、「NEC Advanced Analytics - RAPID機械学習(画像解析V2.1 CPU版)」が375万円から(8月1日出荷開始)。