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キヤノンITS、最新規格に対応した製薬企業向けEDIシステム新版

 キヤノンITソリューションズ株式会社(以下、キヤノンITS)は27日、製薬企業向けEDI(電子データ交換)システム「EDI-Master DEX for Medical」の新版を提供すると発表した。今回は新たに、副作用報告の新規格「E2B(R3)」に対応している。

 EDI-Master DEX for Medicalは、製薬企業および規制当局(厚生労働省)の間での、「医薬品等の副作用等の報告」(以下、副作用報告)を電子的に行うためのEDIシステム。副作用報告の仕組みとして、80社以上の製薬企業に導入・利用されている。

 今回のバージョンアップでは、ICH(日米EU医薬品規制調和国際会議)により規定され、国内では4月より運用が開始された副作用報告のデータ交換規格であるE2B(R3)に対応した。

 E2B(R3)は、よりグローバル基準に対応し迅速なデータ交換を可能にするためにデータ項目の見直しなどが行われた国際標準規格であり、2019年3月まで設けられた並行運用期間中に、従来の「E2B(R2)」より移行することが、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)より通知されている。

 今回の新版を利用すると、E2B(R3)へのスムーズな移行を実現可能。国内で新たに利用が開始される通信プロトコル「AS2」を利用することで、規制当局に加えて製薬企業同士で副作用情報を交換可能になるため、より迅速な情報活用を行えるとした。

 具体的には、「取引先企業名による転送履歴情報の検索」「薬剤情報による送受信データの振り分け」「電子証明書管理」「データフォーマット変換」など、製薬企業間で副作用情報の交換をEDIで行い、業務効率化を実現する機能を強化している。

 さらに、副作用報告に加え、ほかの製薬企業や関係会社との間でEDI環境を構築することが可能。キヤノンITSでは今後、規制当局とのデータ交換だけでなくEDI-Master DEX for Medicalを中核とした製薬企業向けの統合的な情報管理・活用ソリューションを提供する計画だ。

 セキュリティ面でも、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のガイドラインに基づくセキュリティレベル設定機能を追加。また、NSA(米国国家安全保障局) Suite B暗号方式に対応した。

 価格は、登録ユーザー数(EDI-Master DEX for Medicalに設定する通信先の数)が8件の場合で700万円(税別)から。

 なお同社では、製薬企業を中心に、2020年までに累計100社のシステム構築、システム導入を目指す考えで、EDI-Masterを中核とするEDIソリューション関連事業では、2020年に年間売上高25億円を目標としている。