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顧客の職業や年収をAIで推定、分析時間も大幅削減できる新技術をNECが開発

「顧客プロフィール推定技術」の概念図

 日本電気株式会社(以下、NEC)は2日、「顧客プロフィール推定技術」を開発したと発表した。顧客の基本プロフィールと購買履歴をもとに、NECのマイニング技術を組み合わせることで、顧客1人1人の職業・年収といった詳細プロフィールを推定できるという。小売・流通業界での実用化を目指し、今後も研究を進めていく。

 一般的な企業は、マーケティング上重要となる顧客情報を獲得するため、アンケートを実施したり、会員制度を導入する。これらの施策で年齢や性別といった基本的なプロフィールは収集できるが、より個人的なニーズの掘り起こしに必要とされる職業、年収、嗜好などを正確に把握するのはハードルが高い。

 従来はこの課題の解決策として「商品DNA」による解析が行われてきた。商品ごとに「どのようなライフスタイルの顧客に購入されるか」をあらかじめ決めておき、その商品を買った客のプロフィールを推計する手法だが、マーケティング専門家に頼る部分が多く、作業量も膨大という。

 NECが開発した新技術では、この商品DNAの付与作業を全廃。顧客の基本プロフィール、購買履歴、アンケート結果などを入力するだけで、ほぼ全自動処理される。これにより、3カ月かかっていた分析時間を3日に短縮する効果があるという。

 また、各顧客のプロフィールについて仮説を出すAIと、アンケート結果の分析を行うAIがそれぞれ関与することで、仮説生成と検証の連環構造を構築。分析者の主観を排除したプロフィール推定が可能になるとしている。

 NECはAI技術ブランド「NEC the WISE」を7月に発表。今回の「顧客プロフィール推定技術」も同ブランドのもとで展開していく。