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「NetAppのData Fabricは実用になった」、さまざまな関連サービスや製品をアップデート
NetApp Insight 2015 Las Vegasレポート
(2015/10/15 06:00)
企業向けストレージ製品ベンダーの米NetAppは、ユーザー企業やパートナー企業を主な対象としたカンファレンスイベント「NetApp Insight 2015 Las Vegas」を10月12日から米国で開催している。
昨年の「NetApp Insight 2014」では、ハイブリッドクラウドのデータ管理機構のビジョン「Data Fabric」が発表されたのが最大のトピックだった。Data Fabricは、オンプレミスからパブリッククラウドまでさまざまなプラットフォームを接続し、シームレスな統合管理やデータ移動などを実現するというものだ。その要素となる、クラウド上で動くONTAPベースの仮想ストレージアプライアンス「Cloud ONTAP」もこのときに登場した。
今年は昨年の発表から1年たち、「Data Fabricが実用になった」「ハイブリッドクラウドがちゃんと動くようにする」といったメッセージをNetAppは打ち出した。特に、Data Fabricの両端にある先進テクノロジーといえる、フラッシュストレージとクラウドとを中心に説明。さらに、ユーザー企業やパートナー企業に参加を呼びかける「Building Data Fabric Together」という言葉を掲げていた。
Data Fabric以外にも、Cisco社と共同で推進する垂直統合インフラ製品「FlexPod」の5周年など、広範な製品やパートナーシップを紹介していた。
ここでは、記者向けセッションから、NetApp Insight 2015に合わせて10月12日に発表された、Data Fabricの製品やサービス、パートナーシップに関するアップデートの説明を中心にレポートする。なお、CEOも登壇するジェネラルセッションや、Data Fabricの動向、各技術などについても、追ってレポートする予定だ。
Data Fabric関連のサービスや製品のアップデートを発表
Data Fabric関連でアップデートされた内容について、Lee Caswell氏(Vice President, Solutions and Services Marketing)が解説した。発表内容は、「Data Fabric Solution Essentials」の3つ、「Data Fabric Enablement Services」の4つ、製品とパートナーシップの4つとなる。
新しく発表された「Data Fabric Solution Essentials」は、Data Fabricのスターターキットだ。一般的なユースケース3つごとにキットを用意。1つめの「Application Acceleration Solution Kit」は、データベース向けに最小4ノードからのストレージクラスターを用意するもので、オールフラッシュストレージとclustered Data ONTAP(cDOT)によりアプリケーションを高速化する。
2つめの「Openstack Solution Kit with FlexPod」は、垂直統合プラットフォーム「FlexPod」によってOpenStackベースのクラウド環境を容易に構築できるようにするものだ。なお、同じく10月12日づけで、OpenStackベンダーのMirantis社が、NetAppとパートナーシップを結んだことを発表している。
3つめの「Snap-to-Cloud DR Solution Kit」は、クラウドにディザスターリカバリー(DR、災害復旧)環境を構築するものだ。これにはAltaVaultとスナップショットの技術がベースとなる。
「Data Fabric Enablement Services」としては4つのサービスが発表された。「Cloud Sourcing Strategy Workshop」は、ビジネスアプリケーションごとにプライベートクラウドやパブリッククラウドなど最も適したクラウドに展開できるようにする。
「Service Catalog Design」はストレージサービスのサービス要件を明確化・標準化してカタログの作成をサポートする。
「Service Platform Design」は、これまでまでのクラウドの経験をもとにユーザー企業のインフラの合理化をサポートする。
「NetApp Private Storage for Cloud Implementation Service」は、NPS(クラウド側にユーザー企業のNetAppストレージ機器を置くもの)によるハイブリッドクラウド導入をサポートする。
製品とパートナーシップを見ると、1つめはクラウド上で動く仮想ストレージアプライアンス「Cloud ONTAP」の機能強化。「利用を検討する企業からセキュリティについてよく質問される」とのことで、暗号化などのデータセキュリティや、対応メディアの拡充などが紹介された。
2つめは、Amazon GlacierやAzure Backupといったアーカイブ用クラウドストレージのフロントエンドとなる「AltaVault」のバージョン4.1。ネイティブスナップショットに対応したという。
3つめは、Googleの「Google Cloud Platformテクノロジーパートナー」に認定されたこと。別途で話を聞いたVal Bercovici氏(Cloud CTO/Big Data CTO)によると、これによりAltaVaultのGoogle Cloud Storage Nearlineへの対応や、NetApp Private Storage(NPS、クラウド側にユーザー企業のNetAppストレージ機器を置くもの)のGoogle対応などができるという。
4つめは、オールフラッシュストレージ製品「All Flash FAS(AFF)」の勢い。「この1年でかなりの勢いで伸びた。フラッシュからクラウドを統合して管理できるのがNetAppの特徴だ」とCaswell氏は主張した。