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「Microsoftには3つの野心がある」~サティア・ナデラCEO

WPC 2015にパートナー1万2000人が参加、Windows Phoneの新機種投入も

 米Microsoftは、パートナー向けイベント「Worldwide Partner Conference(WPC) 2015」を、2015年7月13日(現地時間)~16日までの4日間、米国フロリダ州オーランドのオレンジカウンティ コンベンションセンターで開催している。

 初日となる13日午前8時45分から始まった基調講演には、同社のサティア・ナデラCEOが基調講演に登壇し、「われわれには3つの野心がある。それによって、ユーザーの変革を支援していくことになる」などとした。講演では、Office 365 E5やGigJamといった新たな製品のほか、Windows PhoneであるLumiaの新製品の投入計画、クラウドに関するパートナープログラムの強化も発表した。

 WPC 2015は、全世界の同社パートナー企業の経営者、セールスおよびマーケティング担当者などを対象にしたイベントで、130カ国以上から1万5000人以上が参加。同社の最新技術情報やパートナー支援施策、成功事例の共有などを通じて、パートナーのビジネス拡大を支援するイベントと位置づけている。日本からは過去最高となる150社超、400人以上が参加している。

 会期中には、約20のセッション、約450のブレークアウトセッションが行われるほか、展示会場も併設され、最新技術も展示される。

米Microsoftのサティア・ナデラCEO
会場となったオレンジカウンティ コンベンションセンター

Microsoftが抱く「3つの野心」

 基調講演では、ナデラCEOが、「Our Journey Together」をテーマに講演。冒頭には、「Microsoftは、エコシステムのために存在する。ここにいるみなさんの努力によって成り立っている」とコメント。これに対して、会場から大きな拍手がわいた。

 ナデラCEOは、Microsoftの基本方針について説明。「われわれは、モバイルファースト、クラウドファーストの道に進んでいくことになる。家庭においても、企業においても、ユビキタスが中心となる。そして、複数のデバイスを活用するためのコントロールブレインの役割を果たすのは、クラウドとなる。また、クラウドは分散型コンピューティングを実現するものであり、独立性を持ったものである点は変わらない。課題は、コンピュータ、ストレージ、ネットワークをどう届けるかという点。Microsoftは、ハイパースケールプロバイダーを目指す。これによって、顧客企業のビジネスの成功と、トランスフォーメーションを可能にすることができる」などとした。

 ナデラCEOは、「Microsoftには、3つの野心がある」とし、「プロダクティビリティとビジネスプロセスの改革」「インテリジェントなクラウドプラットフォームの構築」「パーソナルコンピューティング」の3点を挙げた。

ナデラCEOが掲げた「3つの野心」

 「まず、われわれが取り組んでいかなくてはならないは、プロダクティビティとビジネスプロセスの改革である。そのためには、Office 365やDynamicsなどを、ひとつのものにまとめていくことになる。これまでは、カテゴリーという定義があったことで、顧客の現場においてミスマッチが起こっていた、という事実もある。壁を取り払う必要がある。さまざまなツールやアプリを使い、コラボレーションが行えなくてはならない。私自身、この1年でOffice 365の使い方が変わった。スケジュール確認はCortanaで行い、Power BIによって社内でなにが起こっているのかを見て、経営判断をするという使い方をしている」などと述べた。

 ここでは、新たに発表した「GigJam」のデモストーションを行い、Cortanaを使って会話をしたり、手書きで指示をしたりしながら、ビジネス上の問題を発見し、情報を共有。公開してはいけない情報は隠しながら相手に情報を提供するといったことも可能であることを示した。

 「GigJamによって、情報を能動的に集めることができ、デバイスを活用して会議を行い、生産性を高めることができる。これは、デバイスとアプリと人間との壁を崩すことができるものであり、プロダクティビティとビジネスプロセスの変革をもたらすものになる」とした。

GigGamのデモンストレーション

 2つめの「インテリジェントなクラウドプラットフォームの構築」では、「Microsoftのクラウドには、3つの特徴がある」と前置き。「ひとつは、ハイパースケールクラウドであること、2つめにはハイブリッドクラウドを提供できること、そして、3つめには、エンタープライズレディネスである点である。さらに、iOSやAndroidといったデバイスからも利用でき、Linuxにも対応している。柔軟性、開放性を持ったものであり、開発ツールも同様にオープンな環境を実現している」と述べた。

 また、「どんな会社でも、中心にあるのはデータであり、これをインテリジェントなものとし、アクションが取れるような形式に直すことが大切である。それを、機械学習の能力を持ったCortanaを活用することで、分析し、予測することができる」とも語った。

 ここではCortana Analytics Suiteとして、情報管理、ビッグデータ蓄積、機械学習、分析機能を提供することも明らかにした。今年秋にも提供を開始し、ユーザーがCortanaおよび機械学習機能を自由に利用できるようになる。

(大河原 克行)