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「Microsoftには3つの野心がある」~サティア・ナデラCEO

WPC 2015にパートナー1万2000人が参加、Windows Phoneの新機種投入も

Windows 10は新たなコンピューティング時代の幕開けになる

 3つめの「パーソナルコンピューティング」では、「これはわれわれにとって、もっとも重要なものである」と述べ、Windows 10について言及した。

 「提供開始まであと2週間となっているWindows 10は、新たなコンピューティング時代の幕開けになるものであり、Raspberry Pi、スマートフォン、タブレット、デスクトップ、Surface Hub、HoloLensなどの異なるデバイスでも、統一された体験ができる。これは、Windowsの差別化の鍵を握るものになる。また、タッチ、ペン、マウス、キーボード、音声など、多様なインターフェイスから、自然なインストラクションを可能とし、新たな体験を具現化するものになる」とアピール。

 また、「われわれはファーストパーティとして製品を投入しながら、Windows全体を盛り上げることに取り組んでいる。そして、パーソナルコンピューティングに必要とされる信頼性を実現し、Windowsデバイスの管理性とセキュリティをリードする。センサーにおけるセキュリティも実現している」などとした。

 さらに、「これからの革新は、インプットとアウトプットに尽きる」と語りながら、HoloLensのデモンストレーションを行った。ここでは、MAYA by Autodeskを使用。3Dモデリングの実演を行った。特別なカメラを使用して、HoloLensの画面に映っている映像を、会場のスクリーン上に表示。オートバイの色を変えたり、バックミラーの形状を変えたりといったことを、簡単な操作でリアルタイムに行ってみせた。

 「HoloLensとMAYAを利用することで、パートナーは、さまざまな形でアプリケーションを拡張して、利用することができるようになる。HoloLensは見るたびに、エキサイティングになっていく」と述べたナデラCEOは、「われわれは、こうした3つの野心を持って、ユーザーの変革を支援していくことになる」と締めくくった。

HoloLensのデモンストレーションの様子
オートバイのカラーリングも簡単に変更できる

世界そのものをアップグレードするWindows 10

 続いて登壇したのは、米Microsoft Windows&デバイスグループのテリー・マイヤーソン エグゼクティブバイスプレジデント(EVP)。Windows 10のデモンストレーションを行ったが、ナデラCEOが掲げた「パーソナルコンピューティング」の観点から、より詳細な説明を行うものとなった。

 「Windows 10は、単なる製品のアップグレードではなく、世界そのものをアップグレードするものになる。新たなコンピューティングを体験でき、Microsoftが目指すパーソナルコンピューティングを実現する第1歩となる。さまざまなデバイスをまたがって利用できることになり、開発者にとっては、新たなプラットフォームにアプリケーションを簡単に追加することができる。ひとつのプラットフォームで、さまざまなデバイスで利用でき、常に更新され、イノベーションが図られる。これを唯一提案できるのがWindows 10になる」とした。

米Microsoft Windows&デバイスグループのテリー・マイヤーソン エグゼクティブバイスプレジデント

 デモンストレーションでは、Windows 10の各種機能を紹介したほか、Office 2016の機能、CortanaやHoloLensを活用した新たなインターフェイスについても実演。「Windows 10は、Windows as a Serviceを実現するものであり、数多くのユーザーからのフィードバックを反映して開発されたものである。また、ユニバーサルアプリによって、コードをひとつ書けば、完成したアプリケーションは、さまざまなデバイスで利用できる環境が実現する」とした。

 マイヤーソンEVPは、「これらの機能やデバイスによって、新たなビジネスが構築されていくことになる」と語る一方、「セキュリティはこの15年間で大きく変わってきた。そうした動きにあわせて、Windows 10では、Virtual Secure Modeなどによるアイデンティティの安全性、Enterprise Data Protectionなどによる情報の保護、そして、Secure BootやDevice Guardなどによって、IoTを含めたすべてのデバイスに対してセキュリティを提供できる。Windows 10はセキュリティを核にして開発したものであり、フレキシブルアップデートモデルを提供しながら、ライフタイム期間中、セキュリティを保護し続けることができる唯一のOSになる」とした。

 また最後に「Windowsのエコシステムをすばらしいものにしたい。そして、Windows 10によって、新たなエコシステムの形を作りたい」と述べた。

 なお、講演のなかでマイヤーソンEVPは、「Windows 10に向けて、新たなデザインのLumiaを投入することを予定している」とし、Lumiaシリーズの新たな製品投入計画があることを明かした。

Windows 10のデモンストレーションの様子
Windows 10の3つのアプローチ
Windows 10搭載PCは各社から投入される
Microsoftもさまざまなデバイスを投入する

(大河原 克行)