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アトラシアン、IT部門とビジネス部門の連携をAIによって加速する新機能をお披露目

 アトラシアン株式会社は20日、独自イベント「team on tour TOKYO」を開催した。今年のテーマは、「AIと創る『明日の働き方』」。基調講演では新たに搭載される最新機能やサービスを紹介しながら、AIによってコミュニケーションなど働く際に必要な企業内インフラを変革していく、新しい世界をアピールした。テクノロジーチームとビジネスチームがどう連動していくのかなど、企業のIT部門にとどまらず、社内全体をAIによって新しい働き方に変えていく機能の、さらなる充実化を目指したものとなっている。

 基調講演のタイトルは、「協働を競争力の源泉に:AIと創る『明日の働き方』」。冒頭に壇上に立ったアトラシアン日本法人の代表取締役社長 スチュアート・ハリントン氏は、「AIを活用した新しい働き方が始まるのは遠い未来のことではなく、明日のことになる。ではどうやって明日から働き方を変えていけばいいのか、今日のイベントではそのヒントを見つけてもらうことができれば」とコメント。AI活用によって、新しい働き方を考えるヒントとなるイベントであることを予告した。

アトラシアン株式会社 代表取締役社長 スチュアート・ハリントン氏

 続けて登壇した、Atlassian本社のChief Revenue Officer ブライアン・ダッフィー氏は、「Atlassianには30万以上のユーザーがいる。その中で昨年は大きな変革の年となった。昨年、当社が提供を始めたさまざまなサービスによって、組織としてのすべての実行力、チームの可能性を最大限に引き出すことが可能になった。従来の悪い組織管理の時代は終わりを告げた。企業内のチームの可能性を引き出すものとして、我々が提供するツールが調査会社の評価においてもリーダーの位置となっている」と、大きな飛躍を遂げたことをアピールした。

豪Atlassian Chief Revenue Officerのライアン・ダッフィー氏

 これを受け、Atlassian本社のHead of Product, Jiraであるデイヴ・メイヤー氏が、既に提供されているソリューションや、これから提供されるソリューションを紹介しながら、AI時代で実現する新しい働き方を紹介した。

豪Atlassian Head of Product, Jiraのデイヴ・メイヤー氏

 まず、メイヤー氏は、「テクノロジーは企業の差別化要因となる要素で、IT部門と事業部門は連携して、仕事をする仕掛けを作ることが必要になっている。しかし、最初にその仕掛けを作っても、企業は成長を続けていく間にさまざまなITツールを各事業部門が導入し、個々に作業を進めるため、組織がバラバラになっていく。それを解消するためには、まずクラウドを利用すること。クラウドによって、サイロ化されていたデータを統合することが可能となる。さらにクラウドを利用する中で、AIをチームメイトとして採用することで、バラバラだったチームワークを連携していくことが可能となる」と説明した。

 Atlassianが2024年にリリースしたRovoは、クラウド上でさまざまなサービスをまとめるプラットフォームで、バラバラだったチームを統合することに大きく寄与する。Rovoの機能としては、Rovoサーチによる検索、Rovoチャットによる学習、Rovoエージェントによる実行の3つが主な機能となる。

2024年にリリースしたRovoは、企業内情報を支えるプラットフォームとして利用できる

 例えば検索機能は、JiraやConfluenceといったAtlassianのソリューションだけでなく、Google Drive、Microsoft Sharepoint、Slack、GitHubといったクラウドアプリケーション内の情報から検索することも可能となる。日常的に使用しているSaaSアプリケーションのデータも接続可能となるため、業務に必要なデータを網羅して検索できるという。

 「クラウドの中ですべてのデータが連係されるようになるため、サイロにデータが閉じ込められることがなくなる。チームに閉じた情報でなく、チームをまたがった情報共有が可能となる」(ダッフィー氏)。

 さらに、企業が課題としているチームワークを強化していくために、「Teamwork Collection」として、Jira、Confluence、Loomに加え、LoomにAI for Meeting、RovoにTeamwork Agentを新たに加える。

企業のチームワークを支えるTeamwork Collectionには、Jira、Confluence、Loomに、Rovo Teamwork Agentsを新たに加える
Loomには「Loom AI for Meetings」が加わることがアナウンスされた

 経営層の判断に寄与するStrategyには、戦略立案の中心的なハブとなるFocusに、要員を理解するTalentなどが加わり、Strategy Collectionとなる。

経営層が社内情報を基に目標、作業、チーム、資金を考えることができるFocus
FocusはAlign、Talentとともに、Strategy Collectionとして、経営層にとって役立つ機能を提供する

 開発部門を支援する機能としては、Rovo Dev Agent β版の提供を開始。AIによってコードプランの作成、コード生成、PRレビューを行う機能を持ち、ダッフィー氏は「ぜひ、β版利用に参加してほしい」と来場者に呼びかけた。

開発者向けにはRovo Dev Agentのβ版が提供開始された

 AIによってサポートエンジニアを支援する機能として、「Customer Service Management β版」の提供も開始。こちらに対しても「参加してほしい」と呼びかけた。

サポート部門のコスト削減に寄与するCustomer Service Managementもβ版提供が始まっている

 ダッフィー氏は最後に、「Rovoは、プラットフォームとしてサービス部門、ソフトウェア開発部門、プロダクト担当部門、経営層、全社員と社内をオールラウンドでカバーし、コラボレーションを変革するプラットフォームとなる。AIを活用し、新しい現代的な方法で、企業のフォーカスエリアごとに仕事をサポートし、ビジネスを加速させていくことができる素晴らしいプラットフォームとなる」と基調講演を締めくくった。