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【SDN Japanレポート】SDNによってICTはどう変わる? ~各ベンダーの展示も紹介 (データプレーンをプログラム可能にする「FLARE」に小型版登場)

データプレーンをプログラム可能にする「FLARE」に小型版登場

中尾彰宏氏(東京大学)

 中尾彰宏氏(東京大学)は、「Enabling Deep Programmability for Extending SDN」と題して、氏の研究室で開発しているプログラマブルスイッチ「FLARE」について解説した。

 OpenFlowがデータプレーンとコントロールプレーンを分離してコントロールプレーンをプログラマブルにするのに対し、FLAREはデータプレーンをプログラマブルにするものだ。中尾氏は、「データプレーンに機能が足りないと、上がうまくいかない」とその意義を論じた。なお、氏は同様のプログラマブルなデータプレーンの試みとして、ETSIのNFVや、IntelのDPDK、NetFPGA、GENIなを挙げた。

 中尾氏は、通常のOpenFlowスイッチの得意ではないものとして、L4~L7でのフレキシブルなパターンマッチや、新しいプロトコルのサポートなどを挙げ、これらはフルにプログラム可能なスイッチであれば扱えると説明した。また、FLAREではリソースコンテナ仮想化技術により複数のロジックを同居させられるため、OpenFlowの複数のバージョンへの対応も容易になると語った。

 応用例としては、OpenFlow 1.3と1.0、IPv6/v4のロジックを同居させて別々に処理する例や、パケットの任意のビットマッチによるスイッチングの例、L7の正規表現マッチによるスイッチングの例、イーサネットのMACアドレスを96ビットに拡張する例が紹介された。

 FLAREノード(スイッチ)のアーキテクチャとして、まずプログラム性とパフォーマンス、複数ロジックという3つの課題を設定。これを、メニーコアネットワークプロセッサと汎用プロセッサを組みあわせたハードウェアでLinuxベースのソフトウェアを動かし、リソースコンテナ仮想化技術で複数ロジックをサポートして解決していると解説された。また、プログラミングについても、部品となるプログラムを「トイブロック」として用意し、それらを組み合わせることでデータプレーンを実装できるようにしたという。

 新型のFLAREノードとして、学生がFLAREのプログラミングを学ぶための「FLARE Mini」も紹介された。電力消費120Wの小型のFLAREノードで、40台を用意することを計画しているという。

OpenFlow 1.3と1.0、IPv6/4のロジックを同居させて別々に処理する応用例
パケットの任意のビットマッチによるスイッチングの応用例
L7の正規表現マッチによるスイッチングの応用例
イーサネットのMACアドレスを96ビットに拡張する応用例
FLAREノードの実装
学生の学習用に新しく開発された「FLARE Mini」。中尾氏が実物を手に持って紹介した

(高橋 正和)