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「もう一度世界を変えたい」――、パット・ゲルシンガーCEOが導くVMwareの“次の一手”
Dell EMC World 2017基調講演レポート
2017年5月12日 06:00
IoTのアーキテクチャはタコの構造に似ている?
続いて、バートンEVPは、いくつかの活用事例を紹介した。
NIKEでは、ミックスドリアリティのデバイスや、DELL CANVASを活用しながら、デジタル・デザイン・トランスフォーメーションに取り組んでおり、アスリートの情報や素材の情報などを活用しながら、デザイナーのアイデアを具現化しているという。
「われわれは7年先を考えて開発を進めている。これらのツールを活用することで、クリエイターのイマジネーションを膨らませることができ、アスリートとともに新たな製品やデザインを、一緒に作り上げることができる」(NIKE デジタルデザイントランスフォーメーション担当バイスプレジデントのケン・ブラック氏)。
また、DAQRIのブライアン・ムーリンズCEOは、VRおよびARの活用について説明。同社が開発したミックスドリアリティのデバイスを活用して、製造現場において、作業者の仕事を補助することで、間違いのない操作を行えるといった点で応用されていることなどを紹介した。
さらに、スーパーにおける食品の冷蔵ソリューションの中でIoTが活用されていることについても説明した。
登壇したDellのバイスプレジデント兼IoT担当ゼネラルマネージャーのアンディ・ローズ氏は、「スーパーにおいては、なかなか適切な温度で保存されていないというのが実態だ。ヨーグルトの場合、水が出てきて、分離してしまい、蓋を開けにくいという問題にもつながっている。スーパーの冷蔵の陳列棚は、7種類の温度設定ができるが、どこにどんな食材があるのかがわからないため、適切な温度になっていない」といった課題を指摘。
その上で、「温度センサーを活用することで、食材にあわせて温度調整をすることが可能になる。もし、適切な温度管理を約30万件のスーパーで実現でき、華氏を1度高めることができれば、6万7517世帯の年間エネルギーを削減できることにもつながる。これは、農業や工場などのほかの業界にも活用できる事例である」とする。
一方で、「IoTが活用できる範囲は広い。だが、プロトコルや言語が違い、これをどうつなげるかがこれからの課題になってくるだろう。また、デバイスからエッジを通じて、どうやってクラウドに持って行くのかということも考えなくてはならない」と語りながら、Dell EMCとVMwareが、エッジコンピューティングのためのオープンなフレームワークであるLinux FoundationのEdgeX Foundryプロジェクトに、創設メンバーとして参加していることを紹介。ドライバの公開などを通じて、IoTの普及に貢献していることを示した。
ここでは、ほかのオープンソースプロジェクトが動物のキャラクター(スピリットアニマル)を使用しているように、EdgeX Foundryプロジェクトでもタコをモチーフにしたキャラクターを使用していることについて説明。「タコにしたのは理由がある。タコは8本の足があり、しかも、脳が9つあり、最終的には中央の脳に集中させる。IoTのアーキテクチャは、センサーを使い、エッジコンピューティングを経由しても、最終的には集中させて使うことになる。IoTのアーキテクチャはタコの構造に似ている」として、会場を沸かせた。
最後に、バートンEVPは、「Dell Technologiesには最高のポートフォリオがそろっている。ワークフォースの変革を手伝いたい」と述べた。