週刊海外テックWatch
巨大AI投資が金融市場を揺るがす ハイパースケーラーは借金経営へ
2026年1月13日 11:30
巨大テックの地殻変動
この巨額投資の一方で、ハイパースケーラーは基本的なビジネスモデルを転換しつつある。
CreditSightsは、各社の直近の四半期の「売上高に対する設備投資比率(Capex as a % of sales)」を算出し、Oracle(57%)やMicrosoft(45%)を筆頭に、「これまで考えられなかったレベル」になっていると指摘している。ソフトウェア企業はかつては売上の数パーセントから10%程度を投資に回すのが一般的だった。
ハイパースケーラーは、設備に依存せず「資本集約度の低いソフトウェア企業」だった。
ところが、いまや売上の半分を設備投資に投じるという全く異なる方向を進んでいる。しかも、潤沢だった手持ち資金(フリーキャッシュフロー)だけでは足りず、外部資金を調達してインフラ投資を行うという借金経営に転じた。
MUFGによると、2025年に公募されたハイテク企業の投資適格債(信用力の高い債券)の発行総額は2000億ドルを突破した。例えば、Metaは2025年10月に、同年最大級となる300億ドルの起債を実施。Alphabetは250億ドル規模、Oracleは180億ドル規模の債券を発行した。
MUFGはこうした変化を、単なる財務戦略の調整ではない「地殻変動的なビジネスモデルの転換」と位置付けている。
一方、The Registerは、この投資ブームを支えているハイテク業界の「循環型投資構造」への懸念を指摘する。
例えば、2025年9月、NVIDIAが最大1000億ドルをOpenAIに出資することで両社が合意したが、この資金はデータセンターを建設してNVIDIAのGPUを購入するために使われる。こうした取り引きは、「内輪で資金が循環しているだけで、実需との乖離(かいり)がある」との批判がある。