大河原克行のクローズアップ!エンタープライズ
Windows XPの移行支援施策が最終段階に入る理由
リスク訴求は継続も今後はSever 2003の移行施策へ
(2014/7/4 06:00)
日本マイクロソフトは、2014年4月9日にサポートを終了したWindows XPからの移行が、5月以降も予定通りに推移。6月末には法人ユーザーにおけるWindows XPの利用比率が6%台にまで下がる見通しを明らかにした。7月から始まる同社新年度においては、Windows XPからの移行を促進する各種の支援策をほぼ終了する姿勢も明らかにしている。
同社では、「引き続き、Windows XPを使い続けることのリスクについては訴えていく」(日本マイクロソフト 執行役 ゼネラルビジネスゼネラルマネージャーの高橋明宏氏)としているが、これにより事実上の移行促進策については収束宣言をした格好ともいえる。
また、6月中旬まで見られていたWindows XP特需も、7月以降は徐々に収まるものと見ている。日本マイクロソフトに、Windows XPのサポート終了から約3カ月間の動きについて聞いた。
Windows XPからの移行は順調に推移
Windows XPは、日本マイクロソフトが定めているサポートライフサイクルポリシーに基づいて、2014年4月9日に、サポートを終了した。
IDCジャパンの調べによると、いまから1年半前の2012年12月末時点での、日本国内における法人ユーザーのWindows XPの利用率は45.5%もあり、欧米諸国では20%台後半から30%台という比率であったのに比べても極めて高い構成比となっていた。
これが、2013年12月時点では17.1%の617万台へと減少。さらに、日本マイクロソフトでは、4月9日のサポート終了時点では、10%を切ることを目標に掲げており、「独自の試算では、この時点で10%を切ったと判断している」(日本マイクロソフト 樋口泰行社長)としていた。
IDCジャパンでは、2014年6月末時点では、法人ユーザーでは、241万台のWindows XPが利用され、全体の6.6%にまで減少すると予測。個人ユーザーでも351万台、構成比8.7%にまで減少し、法人および個人をあわせた国内市場全体では、592万台、7.7%になると予測していた。
日本マイクロソフトのWindows本部 Windowsコマーシャルグループ シニアマネージャー 西野道子氏は、「法人ユーザーも、個人ユーザーも、ほぼこの見通し通りに推移しており、Windows XP比率は欧米並の水準にまで減少してきた。日本マイクロソフト1社では、わずか1年半という短い期間に、Windows XPの構成比をここまでの水準に減少させることができなかった。その点では、パートナー各社のさまざまな取り組みが、大きな成果になって表れている」と語る。
日本マイクロソフトでは、サポート終了1年前となる2013年4月9日に、パートナー各社と共同で会見を行い、業界をあげてWindows XPからの移行促進キャンペーンを開始することを発表。さらに、2014年2月には政府が推進している情報セキュリティ月間にあわせて、経済産業省などとともに、セキュリティの観点からWindows XPを使い続けることのリスクについて訴求。業界を越えた形で移行を促す取り組みを開始した。
高橋執行役は、「当初は、Windows 8やタブレットの活用によるワークスタイル変革の提案を行うことで、Windows XPからの移行メリットを訴求してきたが、2月以降は、Windows XPを使い続けることでのセキュリティリスクを中心に訴求をしてきた。大手法人ユーザーでは、計画的な移行を進めてきたが、中小企業においては遅れが目立っていた。業界全体のPC供給能力が足りず、一部メーカーでは製品が品薄になったこと、SIerの手が回らなかったことで、サポート終了までに新たなOS環境に移行ができずに、入れ替えが4月以降にずれ込んだといった影響もあったが、6月末には確実に1けた台の構成比となり、ほぼ予定通りの進ちょくをみせている」という。