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AnthropicがAIブラウザー機能を限定公開 「危険すぎる」脆弱性とは
2025年9月1日 11:34
AIブラウザーへの期待と開発合戦
AIブラウザーは次々に登場している。今年5月28日にOperaが「Neon」を発表(ウェイトリスト受付中)すると、6月にGensparkがAIブラウザー(現在Mac版のみリリース)を公開。7月にはPerplexityが「Comet」をリリースした。7月9日付のReutersによると、OpenAIも数週間内にエージェント「Operator」を内蔵した独自のAIブラウザーをリリースする計画だという。続々登場しているAIブラウザーの中でも、Claude for Chromeは最新かつ最も注目を集める存在だ。
競争の背景には、ユーザーの窓口がブラウザーからAIエージェントに移行するとの期待がある。市場調査会社Market.usのレポートは、世界のAIブラウザー市場が2024年の約45億ドルから10年間、年平均32.8%の成長率で拡大し、2034年には768億ドルに達すると予想している。
また、その期待にGoogleの独禁法訴訟が拍車をかけている。昨年8月、連邦地裁はインターネット検索市場におけるGoogleの違法な独占を認める判決を下した。司法省は是正措置を検討している段階で、Chromeブラウザーを売却させる案も検討されているという。
それを見越してPerplexityはChromeを345億ドルで買収することを提案。OpenAIのSam Altman氏も買収意欲を見せている。今は、Googleのブラウザー一強状態が大きく変わる可能性のある時だ。
だがAIブラウザーの時代は、始まった途端にセキュリティ問題に直面している。
Braveは、現状で行うべき対策として、「信頼できるユーザーの指示と信用できないWebコンテンツの明確な分離」「セキュリティとプライバシーに影響する操作でのユーザー確認」「エージェント型ブラウジングと通常のブラウジングの隔離」――を挙げている。
その上で「エージェント型ブラウジングは本質的に強力だがリスクの高いモードだ。ユーザーが偶然このモードに入ることは不可能にすべきだ」と警告する。
一方でWillison氏は、ブラウザー上で動くAIエージェントそのものに懐疑的で、こう述べている。「エージェント型ブラウザー拡張のコンセプト自体に致命的な欠陥があり、安全に構築することは不可能だと強く考えている」
便利なAIブラウザーの未来は、セキュリティの綱渡りが続くのかもしれない。