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Qualcommが24億ドルでAlphawave買収 データセンター市場本格参入へ
2025年6月16日 11:16
データセンターからの苦い撤退
Qualcommは今回の発表の3週間前の5月19日、台湾で開催されたComputex 2025でデータセンター市場への再参入を宣言していた。Amon氏は「われわれには大きな破壊的なCPUと柔軟性がある」と述べ、CPUロードマップとリリース時期について「非常に近いうちに発表する」と予告していた。CNBCなどが伝えている。
Qualcommはデータセンター分野で過去に苦い経験がある。同社は2017年にArmベースのデータセンターCPU「Centriq」をリリース。「世界初の10nmサーバープロセッサー」(同社)として大々的にデータセンター向けチップに参入した。
Centriqは、Google、Microsoft、HPEなどの支持を取り付けてスタートを切ったが、すぐにQualcommは大きな困難に直面する。同年11月、Broadcomが1000億ドル規模の敵対的買収を仕掛けてきたのだ。この買収はCFIUS(米国外国投資委員会)の審査対象となり、結局2018年3月、Trump大統領(1期目)の大統領令で阻止された。
しかし、Qualcommは、株主対応で巨額のコスト削減を迫られ、その中でデータセンター事業部は極度に縮小され、事業の継続が困難な状況にまで追いやられた。The Informationは、最盛期1000人超だったデータセンター事業部が50人程度まで削減されたと伝えている。
状況を変えるきっかけとなったのは2021年のNuvia買収だ。Nuviaは元AppleのAシリーズプロセッサーのチーフアーキテクト、Gerard Williams III らが2019年に設立したスタートアップだ。
14億ドルを投じたNuvia買収の目的はArmへのライセンス料の圧縮だったが、Nuviaがサーバー市場を目標としていたことからデータセンター向け製品に役立った。Oryon CPUはそこから生まれた成果でもある。