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Qualcommが24億ドルでAlphawave買収 データセンター市場本格参入へ
2025年6月16日 11:16
「協調的脱NVIDIA依存」戦略
現在のデータセンター建設ラッシュの中、クラウド企業はハイエンドGPUの供給で圧倒的な力を持つNVIDIAへの依存からの脱却を目指す動きを見せている。
ハイパースケーラーらが注目しているのが、ASIC(特定用途向け集積回路)だ。例えば、Amazonの「Inferentia」やGoogleの「TPU」、Microsoftの「Azure Maia」などがある。ASICは特定のAI処理に特化することで効率を向上するともに、汎用のGPUよりも低コストで配備できる。
Tom's Hardwareによると、各社はNVIDIAからの調達を続けつつ、ASICへの投資も並行して行っている。NVIDIAから完全に独立するのは長期的目標であり、「当面はNVIDIAから購入を継続しつつ、自社開発のASIC設計を通じてハードウェアの独立化への道を歩み始めたようだ」としている。
NVIDIA側も手をこまねいているわけではない。Computex 2025で発表した「NVLink Fusion」はASICベンダーがNVIDIA技術を自社製品に統合できる道を開いた。NVLinkを使えば、独自ASICを開発してもNVIDIAのエコシステムに参加することになる。実際、ASIC市場の多くの企業がパートナーとして参加を表明した。
Qualcommもデータセンター市場への再参入発表の際、NVLink技術を活用したデータセンターCPUを開発することを発表している。NVIDIAのエコシステムに参加しながら、Alphawaveから得た独自技術で差別化を図る戦略のようだ。皆が「協調的脱NVIDIA依存」戦略で動いていると言えるだろう。
こうした各プレーヤーの複雑な動きの中で、最も恩恵を受けているのはTSMCかもしれない、とTom's Hardwareは指摘する。これは同社会長のC.C.Wei氏のこんな言葉が象徴している。
「誰が勝とうと関係ない。彼らはみなTSMCの顧客だ」