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検索と広告の次はAIとクラウド Google I/Oのメッセージ

 GoogleはAIに賭ける――。恒例のGoogleの開発者会議「Google I/O」が開催され、VR(仮想現実)やメッセンジャーなど怒濤の新製品発表に参加者もメディアもおおいに沸いた。これらの新製品を結ぶ太い横糸がAI(人工知能)だ。テクノロジーに強い自信を持つGoogleは、AIをバックとして先行するライバルに追いつき、追い越すことを目指す。クラウドをビジネスの中核にしてゆく戦略の要でもある。

多彩な新製品をつなぐAI

 Google I/Oのオープニング基調講演。昨年8月にCEOに就任したSundar Pichai氏が登場し、多くの新製品を紹介した。対話型アシスタントの「Google Assistant」、これを組み込んだ家庭用スピーカー「Google Home」や、インスタントメッセンジャー「Allo」とビデオチャットアプリ「Duo」、VRプラットフォーム「Daydream」と、それに対応するモバイルOSの新バージョン「Android N」などなどだ。

 広範囲な新製品だが「どこかで見たものばかり」ではないだろうか? Google AssistantはAppleの「Siri」や、Microsoftの「Cortana」のGoogle版だし、Google HomeはAmazonの「Echo」の全くの真似。AlloはFacebookやWhatsApp風のメッセンジャーで、DuoはSkypeに似たビデオ対応通話アプリだ。Daydreamにしても、FacebookのVRプラットフォームの後追い――。

 しかし、これらの製品には共通の特徴がある。「全ての“後追い”アイテムをつなぐのは、AI、コンテクスト、パーソナライゼーション、完全なコンピューティングパワー」(ZDnet)ということだ。例えば、Alloは会話の内容からコンテクストに合ったメッセージの自動生成ができ、使い込むほど、その人らしい返信をするようになるという。

 Googleは、ライバルに勝るユーザー体験をAIで提供して差別化するという戦略を明確にした。Pichai氏は「ユーザーには、継続的なGoogleと双方向の対話をしてもらいたい。ユーザー一人ひとりが“独自のGoogle”をつくることを考えている」と語っている。

(行宮翔太=Infostand)